第27回–精神専門33-35

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(精神保健福祉相談援助の基盤・事例問題2)
次の事例を読んで, 問題33から問題35までについて答えなさい。
〔事 例〕
県のスクールソーシャルワーカーとして働くF精神保健福祉士は, 小学校校長から, 「G君 (6歳, 男児) をめぐって学級が混乱し授業が成り立たない」と相談を受けた。学級に入ったF精神保健福祉士は, 落ち着きがなく授業中に立ち歩く児童が複数いる中で, 特にG君は刺激に反応しやすく, こだわりが強そうで, 教諭の指示に従おうとするもののうまくできずいらだっていることに気づいた。教諭からの情報ではG君家庭は母子世帯で, 母Hさんが学童保育を利用しながら生計を立てており, 困った時には市の母子自立支援員に相談しているとのことだった。母子自立支援員は, 「Hさんが最近は体調を崩しがちなので子育てが心配だ」と話した。(問題33)
精神保健福祉士はHさんとの面談を希望したが, Hさんの勤務の関係でキャンセルが続いた。ある日, 学童保育から学校に苦情があり急遼関係機関で対応を協議することとなった。学童保育指導員はG君をめぐる児童間のトラブルを申し立て, 教諭は疲弊しきった様子で指導上の困難を訴えた。母子自立支援員は, Hさんのつらさを訴え, 学校や学童保育の無理解を批判した。F精神保健福祉士は, 所属機関による役割の違いに理解を示した。そして, G君やHさんが頑張って取り組んでいることをそれぞれの視点で振り返るよう促し, またそれぞれのかかわり方で工夫したことや役に立ったことについて情報交換していった。その後, G君, Hさんの状況と, 教諭や学童保育指導員の取組について共通した理解が得られるように働きかけた。(問題34)
その後, F精神保健福祉士はHさんと面談を行った。そしてHさんの了解を得て, 関係者が一堂に集まってG君とHさんの今後の支援のために会議を開くことを決めた。 (問題35)
その後, 学童保育ではG君が穏やかに過ごせる時間が増えてきた。学級ではボランティアが入ることで, 子どもたち一人ひとりに支援の手が増え, G君も少しずつ落ち着いてくるようになった。Hさんは, 今後のG君の支援を充実させるために, より専門的な支援を受けたいと希望を話すようになった。

さて, また事例問題なので一気に3問。なかなか突っ込みどころ満載の事例ですねえ。

問題33 次のうち, F精神保健福祉士が行っている情報収集の視点の説明として, 最も適切なものを1つ選びなさい。
1 人と状況の全体関連性
2 医学的診断
3 多様性の尊重
4 利用者の自己決定
5 非審判的態度

選択肢1 正答。うーん決定的に正解って感じというよりも, 人と状況の全体関連性という視点は精神保健福祉士の情報収集の基本的な視点なので誤りにはなりにくいですよね。現段階では本人の周囲の状況を把握している段階なので正解だと思います。

選択肢2 誤り。医学的診断は精神保健福祉士の視点とは言えませんね。

選択肢3 誤り。多様性の尊重もまあ間違いではないですが, 事例のこの段階では個人の個性にそこまで焦点をあてる時期ではなさそうです。

選択肢4 誤り。自己決定の尊重は非常に大事な視点ですが, まだ個別のニーズを把握している段階ではないですね。

選択肢5 誤り。非審判的態度とは, 援助者が利用者に対して, その現在や過去の行為を非難したり裁いたりする態度を取らないということです。この事例においても大事な視点ですが, まだ本人との面談も行っていない段階なので少し遠い様な気がします。

 

問題34 次のうち, この時点におけるF精神保健福祉士が行う機能を説明するものとして, 最も適切なものを1つ選びなさい。

1 広範なニーズへの対応
2 本人の解決能力の向上
3 連携と協働
4 予防的支援
5 個と地域の一体的支援

うーん。日本語の問題なのでしょうか。一応解説。

選択肢1 誤り。まだニーズが顕在化していない状況だと思います。

選択肢2 誤り。まだ本人と面談もしていない段階です。

選択肢3 正答。関係者同士の質のよいコミュニケーションで連携と共同を高めている時期だと思います。

選択肢4 誤り。なにを予防するのかがよくわかりませんねー。

選択肢5 誤り。まだ「地域」というほどの周囲の状況ではないように思えます。

問題35 次の記述のうち, この会議におけるF精神保健福祉士のかかわりとして, 最も適切なものを1つ選びなさい。
1 参加者各自の率直な気持ちや支援とその目的を話してもらう。
2 G君の受診の必要性を, 教諭と共にHさんに説得する。
3 G君とトラブルになった児童との和解方法を, 参加者に検討してもらう。
4 学校の管理職や教諭に対して, ひとり親家庭への支援について理解を促す。
5 Hさんの学校や学童保育への不満を代弁し, 改善要求を行う。

選択肢1 正答。こういうタイプの問題で「話を聞く」系の解答がでたら迷わず選ぶしかありませんね。

選択肢2 誤り。受診の必要があるかどうかを判断するのは精神保健福祉士の役割とも思えませんし, 「説得」というのも明らかにおかしいですね。

選択肢3 誤り。これは悪い選択肢ではないかもしれませんが, 1つの事象に関して解決しただけでは問題の解決には至らないと思います。

選択肢4 誤り。スクールソーシャルワークでは, それぞれの専門家の立場の違いにより, 連携と共同が難しくなることが多くなります。そういう時にどちらかの立場に経つと対立関係を助長してしまう可能性が高くなるので誤りですね。

選択肢5 誤り。Hさんも学校も本人を支える資源と捉えればそこで対立を煽るような援助は控えるべきだと思います。

この事例に全体的にもやっとする問題ですが, なんとなく解けたかなあという感じですね。この事例では, ほとんど本人が登場しないのが気になります。6歳であっても本人にも援助の場面には登場して欲しいなあ。

 

今年の「精神保健福祉相談援助の基盤」は例年に比べると難易度は低かったと思います。あまり聞いたことのない用語も出題されていましたが, 問題文をしっかり読めば選択肢はずいぶん減らす事ができました。ある程度得点源にできる科目だったのではないでしょうか。

今週は試験的に一日3問やってみました。下書きレベルではかなり進んでいるので, 毎日3問でも可能なのですがそんなに焦らなくてもいいのかなあ。順調に行けば, 3月中には共通も含めて終わりそうな予感がしているのですが, 来週からどうしよっかなあ。。何かご意見がある方はtwitterでもいいので是非コメントをください。

今日はここまでー。

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