第27回–精神専門36

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問題36 諸外国の精神保健医療福祉政策に関する次の組み合わせのうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 イタリア — ケネディ大統領教書 (1963年)
2 アメリカ — 法律180号 (バザーリア法) (1978年)
3 ニュージーランド — 国民保健サービス及びコミュニティケア法 (1990年)
4 韓国 — 精神保健法 (1995年)
5 イギリス — ブループリント (1998年)

これはサービス問題だと思います。難しい問題の場合にはそれぞれの概要も出る可能性もあるので丁寧に解説しておきますー。

選択肢1 誤り。ケネディ教書はアメリカですね。。その頃のアメリカでは, クロルプロマジンなどの抗精神病薬の登場によって社会復帰の機運が高まっていた時期でした。ケネディ教書では, 精神障害者の置かれている現状を批判し, これをきっかけにアメリカは, 地域保健センター(Community Mental Health Center)を設置し脱施設化に大きく舵を取りました。

選択肢2 誤り。バザーリア法はイタリアですね。バザーリアは,ジョーンズの 「治療共同体モデル」を参考に「自由こそ治療」をテーマに病院の縮小と院外サービスの向上を目指しました。その活動はトリエステで身を結び, バザーリア法では, 精神病院への新たな入院を禁じ, 次いで新たに以前の入院患者の再入院も禁じました。また, 新しい精神科入院病棟を整備し, これらは15床を越えてはならないという画期的な法律ができました。
選択肢3 誤り。国民保健サービス及びコミュニティケア法はイギリスですね。この法律は, コミュニティ・ケアを国家政策として定着させた法律ですね。

選択肢4 正答。韓国の精神医療は先進国の中では遅れていると言われています。1995年の精神保健法では, 精神障害者を施設で収容する政策から地域での治療とリハビリテーションを重視する方向へと転換が図られていますが, 未だに収容政策が続いており, 病床数も増加傾向にあるという特徴があります。

選択肢5 正答。ブループリントはニュージーランドですね。ブループリントは, 精神保健委員会 (MHC) からのサービス開発計画のことで権利擁護に重点を置き, 地域の社会資源を増やすことを目的としています。ニュージーランドは, 精神科サバイバーネットワークのオヘイガンや差別と偏見の解消のためにラグビー選手などの著名人が登場したビデオ (ライクマインド・ライクマイン)も有名です。リカバリー概念をサービスの基盤に置くのが特徴です。

今週は一日二問くらいを目標にがんばろうかなー。

カテゴリー: 第27回精神専門科目, 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 パーマリンク