第27回–精神専門38

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問題38 次のうち,  ICIDH (国際障害分類) からICF (国際生活機能分類) への改定に際して重視された内容として, 正しいものを2つ選びなさい。
1 構成要素間の相互作用
2 各疾病の諸帰結
3 障害を個人の次元でとらえる視点
4 福祉的サービスの必要性
5 環境因子の影響

もう一問がんばろう。ICF関連の問題もよく出題されます。この問題も正しく理解で正しく理解できていれば解けた問題ではないでしょうか。ちょっと一気に説明します。

国際障害分類 
ICIDH (International Classification of Impairment, Disability, and Handicap) は国際障害者年 (1981) を迎えるに当たり, 障害者問題に対する正しい理解を普及するために操作的定義が必要という観点で開発されました。

ICIDHでは, 障害を

1.機能障害(impairment)
「心理的, 生理的, 解剖的な構造又は機能のなんらかの喪失又は異常」
2.能力低下(disability)
「人間として正常とみなされる方法や範囲で活動していく能力の(機能障害に起因して起こる)なんらかの制限や欠如」
3.社会的不利(handicap)
「機能低下や能力低下の結果として, その個人に生じた不利益であって, その個人にとって正常な役割(年齢, 性別, 社会文化的など)を果たすことが制限されたり妨げられたりすること」

とし,  疾病や障害によって段階的に社会的不利につながっていくというモデルを示しましたが, 一方向の視点であることもあり, このモデルでは障害をマイナスの方向にしか理解できないという課題が挙げられていました。そのため, 障害者や能力でなく
生活機能そのものの分類という視点でICFが開発されています。ICFは, 機能障害を心身機能・身体構造, 能力低下を活動, 社会的不利を参加と置き換え, それらが相互に関連しあうこと, またその関連に環境因子個人因子が大きな影響を与えるというモデルです。このモデルによって, 同じ機能障害であるにも関わらず, 生活範囲が異なるケースや, 重度な機能障害をもっていても軽度の機能障害の人よりも生き生きと生活しているケース, 重度の障害を持っていても立派に社会参加できているケースなどをストレングスモデルで捉えようとしていいます。

正答は1と5で間違いないと思います。

今日はここまでー。

カテゴリー: 第27回精神専門科目, 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 パーマリンク