第27回–共通科目8

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問題8 感覚・知覚に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 目や耳などの感覚器には, 光や音以外にも「眼球をおすと光が見える」などの感覚を生じさせる刺激があり, こうした刺激を適刺激という。
2 網膜像から対象物の形を知覚するには, 認識対象の形を背景から浮き立たせる「図と地の分離」が必要である。
3 錯視は感覚器の生理学的な構造の影響で生じており, 脳の中枢での推論過程などの影響や, 刺激の物理的要素による影響はない。
4 網膜に映る大きさが同じであれば同じ大きさに見えることを, 大きさの恒常性という。
5 パターン認知における特徴分析とは, 認知対象を部分に分けることなく全体としての特徴をとらえて認識する過程のことである。

さて, 新しい科目。はりきっていきましょうー。

これは知覚心理学の領域ですね。この問題は専門でない人にとってはかなり厳しい問題だと思います。

選択肢1 誤り。目や耳, 鼻などの感覚器官は, それぞれある特定の刺激のみを受容するような仕組みになっているが,そのような特定の刺激のことをその末端受容器に対する適刺激といいます。例えば, 目なら光, 耳なら音, 鼻なら匂いが適刺激と言えますね。

選択肢2 正答。図と地の説明ですね。図を認識している時, 地の認識は弱くなり, 図と地は主従関係にあると言えます。ルビンの杯が有名なのですが, この場合どちらかを図として認識すると, 残った方は必ず地になります。選択肢の説明は少し分かりにくいですが正答だと思います。

選択肢3 誤り。錯視は感覚器官だけではなく脳内の推論過程も含めた認知機能全体によって影響を受けます。そのため文化差や年齢によって差異があることも知られていますね。

選択肢4 誤り。大きさの恒常性は,対象の距離を変えてもその大きさが同じに見える現象のことです。つまり, 実際に網膜に移っている大きさを認知過程で是正していると考えることができます。

選択肢5 誤り。これは難しい。パタン認識とは, 対象を認識して意味を付与する認識過程です。簡単にいうと, 感覚器に到達した信号を, 意味のある知覚経験に変換するという感じでしょうか。その中でも特徴分析モデルとは対象をいくつかの特徴に分析し, その結果から対象を認知する過程を取ります。

この問題は厳しかったなあー。今日はあと一問。

 

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