第27回–共通科目16

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問題16 法と社会, そこに成立する秩序との関係に関する次の記述のうち, 最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ホッブズ問題とは, 人々の私的利益の追求こそが, 万人の万人に対する闘争状態を克服することを明らかにした議論のことをいう。
2 合法的支配とは, 形式的に正しい手続きを経て定められた法に基づいていることを理由に, 人々がその支配を受け入れていることをいう。
3 抑圧的法とは, 支配者が被支配者を抑圧し黙らせるための手段として用いられるが, 支配者自身もその法の支配を受けなければならないものをいう。
4 応答的法とは, 法が政治から分離され, 社会のメンバーすべてが等しく従うべき普遍的なルールとして形式化され, 体系化されたものをいう。
5 自律的法とは, 普遍性を維持しつつも社会の要請に応えるために, より柔軟で可塑的な運用を可能にする新たな法のあり方のことをいう。

これまた難しいー。ひーって感じですね。でもよく出題される内容なので解けた人が多そうです。これを機会にしっかり覚えておきましょう。

選択肢1 誤り。ホッブズ問題の説明は逆ですね。諸個人が功利的に行為している (つまり万人の万人に対する戦争状態) で社会秩序はいかにして可能かという課題のことを示します。

選択肢2 正答。これはマックスウェーバー支配の三類型の説明です。ウェーバーは, 支配の類型をカリスマ的支配, 合法的支配, 伝統的支配に分類しました。合法的支配は, 「形式的に正しい手続で定められた法規に従って命令権が行使され,またその合法性のゆえに法規を遵守することが要請される支配と服従の関係のこと。 」近代の支配類型はこれに当たります。

ちなみにカリスマ的支配とは, 人びとはカリスマの資質ゆえに服従するというモデル (ヒトラーとかもそう), 伝統的支配は, 伝統の神聖さにもとづくものです。例えば王国とかはこれに当たるのではないのでしょうか。

選択肢3, 4, 5は, ノネとセルズニックの法の3類型に関する問題だと思います。

選択肢3 誤り。抑圧的法とは, 独裁権力者による支配のための方法です。選択肢の前半は正しいですが, 後半の「支配者自身もその法の支配を受けなければならない」が誤りです。独裁者は法律を発効してもその法律に従う必要はありませんし, 法律を自らの都合のいい様に変更してしまうことも出来ます。

選択肢4 と選択肢5は説明が逆になっています。イメージとしては自律的法が法律そのものががっちがっちに決まっていて柔軟性がないけど, 応答的法はある程度柔軟にできるという感じで捉えればいいのではないでしょうか。そういう意味では裁判員制度や恩赦などは, 自律的法よりも応答的法に近い制度だと思います。

うーん難問!!覚えておけば解けたとは思いますが, 理解してなかったらかなり厳しかった。。

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