第27回–共通科目33

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問題33 地域福祉にかかわるイギリスの歴史に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 チャルマーズ (Chalmers, T.) による隣友運動 (1819年) では, 貧困家庭への訪問活動が行われ, 救貧法の改正に大きな影騨を与えた。
2 ロンドンで設立された慈善組織協会 (1869年) は, 慈善活動を組織化するとともに友愛訪問を実施し, ソーシャルワークの形成に大きな影響を与えた。
3 ロンドンの富裕地域に設立されたトインビーホール (1884年) は, セツルメントの拠点として, 富裕層による慈善活動を喚起する役割を担った。
4「ベヴァリッジ報告」 (1942年) は, 社会保障制度の基礎となるとともに, 地方自治体におけるパーソナル・ソーシャル・サービスを中心とした組織改革をもたらした。
5 イギリス政府の病院計画 (1962年) では, 10年間で知的障害者の入所施設の利用コミュニティケアを推進する政策を打ち出した。

イギリスの地域福祉の変遷に関する問題ですね。さっき問題書いた所でバグって消えてしまってテンションだだ下がり。。。がんばろっと。

選択肢1 誤り。チャルマーズ隣友運動は, 教区を区分けして貧困家庭への友愛訪問や, 組織的な援助など相互扶助や自助を重視する慈善活動です。この活動は慈善組織協会(COS)の活動に継承されています。

選択肢2 正答。慈善組織協会は, 無差別施与と慈善活動の乱立の弊害を防止するため救済の適正化を目的とし, 団体相互の連絡と調整, 協力と組織化を図りました。”貧困の原因は個人の道徳的退廃にある”といった活動理念から, 物質的な援助よりも道徳的な改良によって生活改善を与えること, 立ち直らせることを目指しています。援助対象の貧民を「救済に値する貧民(好ましい人物)」と「救済に値しない貧民(好ましくない人物)」に選別する選別主義であったことも覚えておく必要があります。

選択肢3 誤り。セツルメントは, 貧困問題への教育の重要性を重視するもので富裕層ではなく「知識人の移植」 によって行うものです。ちなみにトインビーはセツルメントの父と言われる人で, トインビーホールは早逝したトインビーに代わりバーネット夫妻によって建てられた世界初のセツルメントハウスですね。

選択肢4 誤り。パーソナル・ソーシャル・サービスはシーボーム報告です。シーボーム報告では, 各種のパーソナル・ソーシャル・サービスが地方自治体の各部局で分散して進められていたことへの反省からそれらの統合を目指しました。

選択肢5 誤り。病院計画は, 大規模精神病院を閉鎖するという施策です。選択肢は, 知的障害となっているのであやまりですね。

さて新年度の始まりですね。のんびり1日一問仕上げていきましょう。

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