第25回-精神専門40

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精神科リハビリテーションに関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 精神科リハビリテーションは, 入院患者の退院促進を目的とする精神医学の治療技法に位置づけられる。
2 精神科リハビリテーションにおける評価・訓練の目標は, 日常生活動作 (ADL) の改善である。
3 精神科リハビリテーションの二大介入とは, 当事者の技能開発と環境的支援開発である。
4 精神科リハビリテーションは, 急性期の症状が消失し, 落ち着いた状態が続いていることを確認してから開始する。
5 精神科リハビリテーションの実施にとって.薬物療法は必要かつ十分な条件である。

精神科リハビリテーションは, 元々1つの科目として独立していたものでした。科目はなくなっても一定数の問題が出題されるのは間違いないと思いますので詳しく見て行きましょう。

特に, アンソニーは精神科リハビリテーションの重要人物です。設問はアンソニーの精神科リハビリテーションの理念から正答を導くことが求められているのかなーと思います。
1) 精神科リハビリテーションの最大の焦点
→精神障害を抱えた人の能力を改善
2) 精神科リハビリテーションのメリット
→環境における当事者自らの行動が改善 適応の向上)
3) 柔軟に技法を運用
臨機応変にさまざまなテクニックを駆使する
4) 職業上の予後を改善を目標にする
5) 構成要素として希望が不可欠
6) 時として依存することが自立につながる
7) 当事者のリハビリテーションには本人を参加させることが望ましい。
8) 二大介入→技能開発環境的支援開発
9) 薬物療法は必要条件だが, 十分条件ではない

選択肢1   リハビリテーションの焦点は能力改善により生活のしずらさを減らす事なので入院中に限らず, 地域においても行われるものです。選択肢は誤り。

選択肢2  精神科リハビリテーションではADL (日常生活動作) を高めるというよりもむしろ環境における当事者自らの行動を改善することで適応を高めていくということです。この選択肢も誤り。

選択肢3  この選択肢が正解ですね。アンソニーは, 技能開発と環境的支援開発を精神科リハビリテーションの二大介入であるとしました。これはリハビリテーションと社会福祉の違いを表している言葉ですね。

社会福祉はニーズモデルなので, 多様な生活ニーズをなんらかの社会資源により充足するのが目標なのです。一方でリハビリテーションは障害モデルで, 当事者が自らの力で解決できるような支援, 戦略的介入を指します。環境との相互作用に焦点を集めながらも個人の力の向上も重用視すると覚えておきましょう。

選択肢4 精神科リハビリテーションの原則に「臨機応変にさまざまなテクニックを駆使する」というものがあります。急性期においても作業療法などを利用したり落ち着けるようなプログラムを構成するなど, 早い段階からの介入が必要です。選択肢は誤り。

選択肢5 「薬物療法は必要条件だが, 十分条件ではない。」とされているので選択肢は間違いですね。

せっかくなので, 精神科リハビリテーションの定義についてその他の有名人についても簡単に解説。

ベネット  「出来る限り一般の社会的環境のもとで, 精神障害者が残っている能力を最大限に活用して, 最高の能力を引き出せるように援助していくプロセス。」
ウイング・モリス  「精神障害者の社会的障害の原因を明らかにし, 予防し, 最小にすると同時に, 個人がそれらの才能を伸ばし, それを利用して社会的役割の成功を通じて自身と自尊心を獲得するのを助ける過程」
シェパード  リハビリテーション成功の基準は, 個人が可能な限りの最高の適応を達成することであり, それは著しい生活能力の改善によるものであってもそうでなくてもよい。
アンソニー  長期にわたり精神障害を抱える人がその機能を回復するのを助け, 専門家による最小限の介入で, 自分で選んだ場所で落ち着き満足できるようにすること。

リハビリテーションは覚える事が多すぎるのでしんどいですねー。

今日はここまで。


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