第25回-精神専門39

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2週間前からU精神科病院の開放病棟に医療保護入院しているKさん (19歳, 女性) は, 思考の混乱が収まった実感がでてきて, 退院したいと思っている。
ある日Kさんは「退院したいけど主治医の前に出ると緊張して言葉が出ない。両親も取り合ってくれない」と, 入院当初から信頼を寄せているL精神保健福祉士に訴えてきた。Kさんは, 診察の際, 主治医から「ゆっくり治療しましょう」と勧められ, 自分からは退院の話を言い出せなかったと話してくれた。
次の記述のうち, L精神保健福祉士の対応として, 適切なものを1つ選びなさい。
1 退院には両親の許可が必要であると説明した。
2 行動制限最小化委員会で協議できると説明した。
3 主治医に代わって病状を詳しく説明した。
4L精神保健福祉士も診察に同席できると説明した。
5 任意入院へ形態変更できると説明した。

単文事例問題ですね。これは適切なものを選べというよりも不適切なものから選ぶという感じの方が正答に近そうです。

まず, 選択肢5 任意入院への入院形態の変更は精神保健福祉士の仕事ではありませんし, 事例のニーズは任意入院したいのではなく, 退院したいなので明らかに誤りですね。

選択肢3 病状を詳しく説明するのは, 精神保健福祉士の仕事ではありません。これも明らかに誤りです。

選択肢2 行動制限最小化委員会は, 隔離, 拘束, 面会, 通信などに関する行動制限について審査するセルフレビュー機関で, 医療機関で働く精神保健福祉士の重要な仕事のひとつですね。ちなみに医療法に記載されています。事例のケースでは, 「開放病棟に医療保護入院」と記載されいるので, 上記の行動制限の対象になっていないのではないかと推測されます。よって誤り。

選択肢1  医療保護入院の要件についてはこちらでも説明しましたが, 精神保健指定医 の診察の結果, 精神障害者であり, かつ医療及び保護のための入院必要があるものが挙げられます。もちろん保護者の同意によって入院するので, 保護者の意見を無視して退院というケースはほとんどありませんが, 究極的には「医療及び保護のための入院必要がない」と精神保健指定医が判断すれば医療保護入院の要件を満たさないので退院できることになります。よって選択肢は誤りですね。

選択肢4 の診断に同席というのもどうかなあとは思いますが, 実際に無くはないのでこれが正答になるでしょう。

事例問題はかなり解釈が難しいですし, この問題もすっきりという感じではなかったですけれども, 実際に働いている時にはいつも最良の援助が見つかるわけではないので, ある意味実践に即した問題だなあと感じました。

今日はここまで。


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