第25回-精神専門33

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次の事例を読んで, 問題33から問題35までについて答えなさい。
〔事 例〕
Hさん (34歳, 男性) は, 大学3年生の時に, 自分を責める正体不明の声に悩まされ, その声に反応して何回も大声を出したことでアパートの隣人から苦情が入り, Hさんが入院を拒み, 父親の同意により精神科病院に入院した。 (問題33)

問題 33  次のうち, Hさんの入院形態として, 正しいものを1つ選びなさい。
1 任意入院
2 医療保護入院
3 措置入院
4 同意入院
5 応急入院

これは確実に解いておきたい所です。とりあえず正答は, 選択肢2 の医療保護入院で間違いないでしょう。ちょっとどきどきした点としては, 医療保護入院が法制度上で気上ったのは1987年の精神保健法成立時ということです。現在34歳ということは, おそらく大学3年生の頃は, 21歳と仮定すると, すでに法制度上は医療保護入院はできているので大丈夫ですね。Hさんの事例が50歳くらいになっていると, 正答は選択肢4の同意入院になってしまうので今後同様の問題が出た場合には注意が必要です。

一応選択肢順に簡単な説明も。

選択肢1 の任意入院は, 1987精神保健法で新設された入院形態です。それまでは精神科病院においては, 自分の意思での入院というものがありませんでした。現在は, この任意入院が入院患者全体の6割程度を占めています。自分の意志を明らかにするために, 入院時には, 本人の同意書を書面で取ることが必要であり, また権利等に関する書面告知も必要です。ちなみに, 2005精神保健福祉法改正では, この同意書の取り直し (任意入院継続同意書 (1年目と2年毎)) についても明記されましたので, これもついでに覚えておきましょう。

選択肢2 の医療保護入院は, 精神保健指定医 (1名) の診察の結果, 精神障害者であり, かつ医療及び保護のための入院必要があるもので, 任意入院が行われる状態にないものを対象とした強制入院です。入院時には書面告知と保護者の同意書が必要であり, 病院管理者は, 10日以内に保健所を通じ都道府県に入院届を提出する必要があります。強制的な入院ですので, 継続している場合には, 1年に1度, 定期病状報告書, を退院した場合には, 退院届が必要となります。保護者の要件などかなり複雑なのでとりあえずこれだけ。事例は父親が保護者となった医療保護入院と考えるのが妥当ですね。

選択肢3 の措置入院は, 医療及び保護のために入院させなければその精神障害者のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある場合に都道府県知事の権限において行われる強制入院です。現在は入院患者全体の数パーセントに留まっています。
費用は全額公費(国3/4, 県1/4)で保険優先です。2名以上の精神保健指定医の合意が必要であり, 措置入院継続の場合, 初回入院時は3ヶ月, その後は6ヶ月に一度定期病状報告書, 退院時には措置入院症状消退届を提出する必要があります。

選択肢4  これは先ほども説明しましたが, 過去の保護者の同意による入院です。同意入院と聞くと, 自分の意志で入院したかのような誤解を与えるという指摘もあり, 現在は医療保護入院と名前を変えました。

選択肢5  応急入院は, 緊急の入院が必要で保護者の同意がすぐに取れない場合に行われるもので1987年の精神保健法で新設されました。厚生労働大臣の定める基準を満たし, 都道府県に指定を受けている病院の管理者の権限で, 精神保健指定医の診察の結果, 72時間に限り認められています。この72時間の間に, 保護者と連絡をとり医療保護入院への切り替えを行うか, 本人の意思での任意入院に切り替えるなどの方法を検討することになります。

入院には, 他にも緊急措置入院がありますね。緊急措置入院は, 2名の精神保健指定が確保できない場合でも, 緊急性が高い時は, 精神保健指定医が1名の診察でも入院が可能な制度で72時間以内にもう1名の精神保健指定医による診察が必要です。

入院形態は頻出なので改めておさらいしておきましょうー。特定医師に関する問題も出題されるかもしれないので要チェックですね。


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第25回-精神専門33 への2件のフィードバック

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