今日は二問連続のほうが分かりやすそうなので連発で。
後日, Eさんは, Fさんの話を通して, 当時の活動を改めて思い出した。年金不支給決定の取消しと国家賠償を求め, 全国の地方裁判所で提訴された「学生無年金問題」である。この訴訟には, 地元P市の精神障害当事者, 家族, 弁護士, 精神保健福祉士などが協力して活動していた。また, 地域で働いているG精神保健福祉士は, 初診日による認定の問題点などについて意見書をまとめ, 裁判では証人として意見陳述も行っていた。当時, 作業所で働いていたEさんは, 「P市無年金障害者をなくす会」を紹介され, このG精神保健福祉士と出会った。
EさんやG精神保健福祉士たちは, 精神障害当事者, 家族とともに, 無年金障害者に対する実態調査, 署名活動などにかかわった。(問題31)
その後, G精神保健福祉士からの紹介により, Eさんは仲間を支援する現在の職に就いた。同僚のピアスタッフのように, 自身の体験をいかして, 今後は精神保健福祉士の資格取得を目指すことを希望している。 (問題32)
問題 31 次のうち, EさんやG精神保健福祉士たちが取り組んだアドボカシーとし
て, 適切なものを1つ選びなさい。
1 クラスアドボカシー
2 ケースアドボカシー
3 パーソナルアドボカシー
4 セルフアドボカシー
5 シチズンアドボカシー
こちらの問題とやや被りますね。大事だってことは分かるんですが, 精神疾患の時も思ったんだけど, なんで同じ内容の問題出すんだろう??他にもいろいろあるだろうに。。
設題の内容は, 「学生無年金問題」個別の問題なので, 選択肢2のケースアドボカシー及び選択肢3のパーソナルアドボカシー, 選択肢4のセルフアドボカシーは間違っています。ところで, 僕の中では, このケースアドボカシーとパーソナルアドボカシーはほぼ同義で捉えていたんだけど, なにか大きな違いってあるのでしょうか。だれか教えて偉い人。。。もし, ほぼ同義だとすればこの選択の作り方はあまり正しくないような。。。まあいっか。
私は選択肢5のシチズンアドボカシーと選択肢1のクラスアドボカシーで悩みました。シチズンアドボカシーの定義については, 「当事者を含む市民が主体となって実施するもの」であり, 一方クラスアドボカシーは「同じようなニーズをもつ特定の集団の権利を擁護する。」とあります。この事例のケースでは, どちらかと言えばクラスアドボカシーに近いのではないでしょうか。
ちなみにアドボカシーには他にもいろんな分類があって, 公的機関・組織が中心となり, 実施するパブリックアドボカシーや弁護士や当事者などが協力して活動するリーガルアドボカシーなども用語は理解しておく必要がありますね。
問題 32 次のうち, G精神保健福祉士がEさんらとともに行ってきた精神保健福祉相談援助として, 適切なものを1つ選びなさい。
1 ソーシャルインクルージョン
2 ソーシャルアドミニストレーション
3 コンサルテーション
4 アファーマティブアクション
5 ソーシャルアクション
精神保健福祉における重要用語の問題です。全て覚えておく必要がありますね。順番に確認していきましょう。
選択肢1 ソーシャルインクルージョンとは, 全ての人々を孤独や孤立, 排除や摩擦から援護し, 健康で文化的な生活の実現につなげるよう, 社会の構成員として包み支え合うという理念で, 「社会的包容力」や「社会的包摂」などと言われます。ソーシャルインクルージョンはノーマライゼーションの発展形態ということができますね。設問とは少し離れているように思います。
選択肢2 ソーシャルアドミニストレーション (社会福祉運営管理) は, 間接援助技術の1つで, 管理者や社会福祉従事者, 利用者および関係者を対象として, サービス計画や運営改善やニーズのフィードバックを行うことを目的とする技術です。イギリスで生まれソーシャルワーク技法の1つでティトマスが有名なので覚えておく必要があります。これも選択肢からは少し離れていますね。
選択肢3 コンサルテーションは, キャプラン によって確立された技法で, 機関・組織・個人, が他部門の専門家との相談・協議・指導を受けることを言います。スーパービジョンと異なり, コンサルタントのアドバイスの採否はコンサルティに委ねられており, 問題解決の責任が生じないのが特徴です。これも選択肢とは異なっています。
選択肢4 アファーマティブアクションは「差別や不利益を被ってきたマイノリティーの, 職業, 教育上の差別撤廃措置」を示します。これは例えば黒人だから大学に入れないとか, 女性だから就職できないとかそういう差別に対する運動ですね。
選択肢5 これが正答だと思います。ソーシャルアクションと は, 制度や状況を改善するために地域住民が主体となり, 行政などに対して行動を起こす社会運動のことです。間接援助技術のひとつで地域社会での社会活動は 地域援助活動を促進するための重要な方法といえます。 今回の事例では, 個別のアドボカシーに留まらず制度全体の不備に対してソーシャルアクションしていったことが記載されています。業務ではなかなか事例どお りにはいかないかもしれませんが, ワーカーにはボトムアップ視点が常に必要ですね。
事例の解説って難しいなあ。次もまた事例です。今日はここまで。