第25回-精神専門30

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次の事例を読んで, 問題30から問題32までについて答えなさい。

長文事例問題ですね。こういう形式の問題は少なくなる可能性があるかと思ったのですが, かなりガツンと出題されていました。事例に合わせて順番に解説していきましょう。

〔事 例〕
Eさん (52歳, 男性) は, 地域活動支援センターI型で働くピアスタッフである。
先日は, 利用者のFさん (45歳, 男性) から相談を受けた。
Fさんは, 大学2年生 (20歳) のころから周りの人が自分のことを噂していると感じ, 家にひきこもるようになった。大学3年の春に, 心配してアパートを訪ねた母親と地元の精神科病院を受診し, そのまま1年の入院となった。その後, 定職に就いたことのないFさんには収入がなく, 両親の老齢年金に頼る生活がとてもつらいと述べた。FさんはEさんと同じく, 大学時代, 国民年金には加入していなかったという。
Eさんは, 自分が利用している制度が使えるのではないかと思い, この制度についての説明を行った。 (問題30)

問題 30 次のうち, Eさんが説明をした制度として, 正しいものを1つ選びなさい。
1 心身障害者扶養保険共済制度
2 学生納付特例制度
3 特別障害者手当制度
4 特別障害給付金制度
5 障害年金制度

選択肢のなかにある制度の概要は理解しておく必要がありますね。順番に説明します。最後の二択で悩まれた方も多いのではないでしょうか。

選択肢1の心身障害者扶養保険共済制度は, 心身障害者の保護者の相互扶助の精神に基づき, 保護者が生存中掛金を納付することにより, 保護者亡くなった場合などのために任意加入で障害者に終身年金を支給する制度です。詳細はこちらのページに記載されています。細かい数字まで出題されると正直お手上げですが, 法改正などには注意が必要です。事例では, 将来にかけて加入する可能性は0ではありませんが, 現在両親が存命ですのでちょっと正答からは遠いですね。

選択肢2  この問題はとても実践に近い内容だと思います。しかし, 事例の中にEさんの初診日などの情報がないので難しく感じました。作った人のドヤ顔が目に浮かびます。。

日本国内に住むすべての人は, 20歳になった時から国民年金の被保険者となり, 保険料の納付が義務づけられていますが, 学生については, 申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。この基本だけ見ると, これが正答に見えます。しかし, この学生納付特例制度ができたのは2000年からになります。2014現在, 45歳のFさんが, 20歳の頃というと, 1989年ですね。ちなみに学生納付特例制度の前の制度である「学生免除」についても1991年からなのでFさんは該当しません。

選択肢3 の特別障害者手当制度は, 精神又は身体に著しく重度の障害を有し, 日常生活において常時特別の介護を必要とする特別障害者に対して, 重度の障害のため必要となる精神的, 物質的な特別の負担の軽減の一助として手当を支給することにより, 特別障害者の福祉の向上を図ることを目的にしていています。至急要件は20歳以上ですね。

事例を読む限りは, Fさんは常時介護を必要とする重度の精神障害者を持っているとは考えらませんね。よって選択肢は誤りです。

選択肢4 特別障害者給付金制度は, 国民年金に加入できる状況にいなかったことにより, 障害基礎年金等を受給していない障害者の方について, 国民年金制度の発展過程において生じた特別な事情にかんがみ, 福祉的措置として創設されたものです。いろいろ要件はありますが, 非常に簡単に言うと「年金が強制加入でなかった時期」の無年金者の救済のための制度です。前述したようにEさんは学生特例納付制度も利用できない時期かつ, 任意加入の期間であったので, この制度の該当となります。これが正答ですね。

選択肢5  初診日に年金加入していないので事例のケースでは障害年金制度は使えませんね。障害年金の加入要件はこちら。荒っぽく言うと, 20歳〜65歳までの期間に初診日があり, 初診日前1年間又は, 加入期間3分の2以上の保料の納付という風に覚えておけばいいのではないでしょうか。

事例問題の中でも知識の問われる問題でした。年金の相談は, 実際の業務でもかなり多いので, 詳細な知識を持っておく必要がありますね。

今日はここまで!

 


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