第28回-共通科目11

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問題11 個人と集団の関係に関する次の記述のうち, 内集団バイアスの説明として, 最も適切なものを1つ選びなさい。
1 各個人が, 自分が属する集団の大多数と自分の意見が違う場合に, 自分の意見を変えて多数の意見に従うこと。
2 各個人が, 自分が属する集団の成員のことを, それ以外の集団の成員よりも好意的に評価すること。
3 各個人の意見が, 集団内で発せられる極端な意見に影響されて, 極端な方向に動いてしまうこと。
4 各個人が, 自分が属している集団に魅力を感じていること。
5 各個人が, 自分が属している集団の成員が共有する, 規範や思考様式をもつこと。

集団に関する問題も最近よく出題されています。内集団バイアス内集団ひいきとも言われ, 自分が所属している集団の成員に対して, 外集団の成員に比べ, 実際には優劣の差がなくても, 人格や能力が優れていると評価することを言います。

選択肢1 誤り。これは同調の説明ですね。自分の意見と異なる他者の行動や意見, あるいは自分に対する期待などによって, 自分の意見や行動をその他者に合わせて変えることを「同調」と言います。集団へのコミットメントが高いほど, この現象は起きやすくなります。これはアッシュの実験が有名です。

選択肢2 正答。内集団ひいきの説明です。内集団ひいきが起こる理由としては諸説ありますが, 社会的アイデンティティ理論による説明が有名です。この理論はざっくり言うと, 自分自身が価値ある存在と思うためには, 自分が所属する集団に対してポジティブな印象を持つ必要があるということでしょうか。

選択肢3  誤り。これは集団極性化の説明です。集団で意思決定を行う際, 個々人の当初の判断や行動傾向, 感情などが, 集団でのさまざまなやりとりを通す中で, 極端な方向に強くなる現象を指します。集団極性化のうち, リスクが高い方向に揺れることをリスキーシフト, 反対により安全性の高い方向に揺れることをコーシャスシフトと言います。

選択肢4 誤り。うーん。集団凝集性の説明だと思います。ただ, 集団凝集性が高いから内集団バイアスがかかると思えば, これってある意味正解のような気がしてきました。微妙な問題ですね。

選択肢5 誤り。これは, 集団規範の説明ですね。集団規範とは, 集団内で共有される判断の枠組みや思考様式などを指します。集団になると, この集団規範が形成され, 集団成員に集団規範に従わせようとする集団圧力が生じます。

さて次の問題へゴー!

 

カテゴリー: 第28回共通科目, 心理学理論と心理的支援 パーマリンク