第28回-共通科目22

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問題22 エスピンーアンデルセン (Esping-Andersen. G.) の「レジーム」理論に関する記述として, 正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉国家は, 社会的階層化のパターン形成に重要な役割を演じる。
2 脱商品化とは, 労働者が労働能力を喪失することである。
3 脱家族化とは, 単身世帯の増加のことである。
4 福祉レジーム概念は, 福祉国家の否定から生まれた。
5 雇用・労働市場は, 福祉レジームの在り方に影響しない。

さて, 新しい科目で早速エスピンアデルセン。結構よく出題されますのでしっかり覚えておきましょう。この問題でも解説しているように, エスピンアンデルセンは福祉国家を三つの型に分類しています。1つ目はユニバーサルな福祉を制度化する社会民主主義レジーム。企業と家族が主な福祉を提供し, 政府はそれを補助する形の保守主義レジーム。そして市場重視で政府による福祉は最低限に抑える自由主義レジームです。この問題は, ここら辺を最低限度の知識として, それらの考えの奥深くまで問うような内容です。ちょっと難しかったかもしれませんね。

選択肢1 正答。エスピン=アンデルセンは, 「脱商品化」, 「社会的階層化」という二つの指標を用いて福祉国家の分類をしました。社会的階層化というのは, 社会政策が国民の間の職業・階級・身分・性別などによる地位や権利の格差を固定させることを言います。「福祉」という名の社会政策は, ある意味では要支援か否かという意味で, 社会的階層化のパターンを形成してしまう一面があるという意味で捉えればいいのではないでしょうか。自信ありませんけど。。

選択肢2 誤り。脱商品化とは労働力を商品化できなくなっても生活できる条件のことを指します。簡単に言うと, 病気や障害, 高齢などを理由として仕事ができなくなっても生活できるかどうかというように考えればいいですね。脱商品化が進んだ社会は福祉が進んだ社会として考えることができます。

選択肢3 誤り。何年か前に出てた気がしますね。脱家族化とは, 政府や市場原理を活用して, 家庭での育児や介護をどの程度軽減できるかという指標のことを指します。

選択肢4 誤り。福祉レジーム論は福祉国家の類型ですので, これは普通に誤りですね。そもそも, 第二次世界大戦後, 多くの国は社会保障制度の整備を通じて国民の生活の安定を第一の目標とする福祉国家に政策をシフトしています。

選択肢5 誤り。これはまあ明らかに。。「雇用・労働市場」ももちろん福祉国家のあり方に影響を与えるでしょう。

さて, 今日はここまでー。

 

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