第28回-共通科目26

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問題26 貧困・所得格差に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 OECDにおける相対的貧困率は, 等価可処分所得の平均値の50%未満の所得層が全人口に占める比率を指す。
2 ジニ係数の値が1に近いほど, 所得格差は小さい。
3 平均所得の実質額が低下し, ジニ係数の値が上昇すれば, 社会の構成員の満足の総和は上がる。
4 「平成25年国民生活基礎調査」 (厚生労働省) によると, 「子どもがいる現役世帯」のうち, 「大人が一人」の世帯員では, 相対的貧困率は50%を超える。
5 「平成25年国民生活基礎調査」(厚生労働省) によると, 1997年 (平成9年) 以降, 相対的貧困線の実質値は一貫して上昇している。

これは比較的簡単な問題だったかもしれません。用語をしっかり覚えておけばかなり選択肢は減らせます。特に, 必要最低限の生活水準を維持するための食糧・生活必需品を購入できる所得・消費水準に達していない絶対的貧困と, ある国や地域の大多数よりも貧しい相対的貧困の違いは理解しておく必要があります。

選択肢1 誤り。OECD(経済協力開発機構)では, 等価可処分所得が全人口の中央値の半分未満の世帯員を相対的貧困者としています。等価可処分所得ってのは, 世帯の可処分所得を世帯人数の平方根で割って算出するもの。ざっくり言うと, 一人当たり使える額のように捉えればいいですね。これが中央(真ん中)値の半分未満の人は, 他の多くの人よりも相対的に貧困状態にあるといえるでしょう。その相対的貧困者の割合のことを相対的貧困率と言います。選択肢は平均値となっているので「中央値」が正しいと言えます。これは難しく感じますが, 中央値で考えるほうが格差の指標としやすいのでしょうね。

選択肢2 誤り。ジニ係数3年連続の出題です。ジニ係数は社会における所得分配の不平等さを測る指標で, 分布が平等であれば0に近づき, 不平等であれば1に近づきます。選択肢は逆ですね。

選択肢3 誤り。二重に誤りじゃないかなあ。平均所得の実質額が低下した場合, 結果としてジニ係数が下がって格差が減る場合もありますが, それは社会構成員の満足に繋がるとは限りません。格差がなくても, みんなが貧困だとやっぱり満足には繋がらないんじゃないかな。

選択肢4 正答。データはこちらです。これをみると。子供がいる現役世帯で大人が一人の場合(多くはシングルマザーだと思います), 相対的貧困は50%を超えます。これは近年だけではなく, 昭和60年から変わっていません。日本におけるひとり親世帯に関する制度はうまくいっていないのかなあと思うしかないですね。

選択肢5 誤り。これは微妙ですね。。相対的貧困率はじわじわ上がっていますが, 実質値は、平成9年をピークに減少傾向にあります。判断に迷う問題だなあ。。

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