第28回-共通科目54

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問題54 労働者災害補償保険 (以下「労災保険」という。) に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 個人タクシーを営業している者は, 労災保険に加入することができない。
2 労働者が, 通常利用する経路で保育所に子どもを預け, 会社に向かう途中で事故にあった場合, 保険給付の対象にならない。
3 保険料は, 事業主と労働者が折半して負担する。
4 厚生年金保険の障害厚生年金が支給される場合, 労災保険の障害補償年金は支給されない。
5 労災保険率は, 厚生労働大臣が業種ごとに定める。

労災保険に関する問題ですね。これは結構単純な問題なので, しっかり解いておきたい。労働者災害補償保険は, 業務上や通勤により労働者の負傷,疾病,障害,死亡などに対し,保険給付を行うとともに,被災した労働者の社会復帰の促進などを図るための制度です。これは, 荒っぽい考え方なのですが, 一般の保険と違って, 会社が従業員に対する補償義務を果たすためにかける保険と思ったらいいと思います(自動車の自賠責みたい)。

選択肢1 誤り。労災保険は, 事業者が労働者のためにかける保険ですから, 基本的には労働者でない人 (一人親方, 自営業者, 個人タクシーを含む)は労働者のように労災保険が適用されません。 ただ, この方々の為に一人親方の労災保険特別加入制度を設けてあるので, 「加入することはできない」は誤りですね。

選択肢2 誤り。通勤中の災害については「労働者が就業に関し,住居と就業場所との間を合理的な経路・方法で往復すること」とあります。日常生活に関わる場所への寄り道は合理的な経路であるとされます。

選択肢3 誤り。この法律は, 労働者の安全に対する事業主の補償義務に関する保険という性格上, 保険料は事業主が100%負担します。

選択肢4 誤り。これもよく出る問題です。労災保険と障害厚生年金の保険料は, 別々の形で支払っています。ということは, 2つとも併給が可能です。これはあまりにも複雑なので一言では言えませんが, 併給調整という形で労災保険給付の方が減額されて支給されることが多いですね。

選択肢5 正答。保険料率は, 厚生労働大臣が業種ごとに定めます。ちなみに過去3年間の保険料と給付などとの比率に応じて労働保険料率を増減させるメリット性を採用しています。

うむ。結構いい感じの解説ができた (と思う)。

 

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