第28回-社会専門93

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問題93 ソーシャルワークの発展に寄与した代表的な研究者とその理論に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 リッチモンド (Richmond. M.) は, ケースワークの過程と対象として, 個人に直接働きかける直接的活動と社会環境を通じて働きかける間接的活動を挙げた。
2 パールマン (Perlman, H.) は, 診断主義と機能主義双方の理論を折衷的に取り入れ, 課題中心アプローチを体系化した。
3 ハミルトン (Hamilton. G.) は, 人とその人を取り巻く状況とその両者の相互作用の視点から「状況の中の人」という概念を提唱した。
4 リード (Reid. W. ) は, ソーシャルワークの共通基盤として, 実践に必須の要素に, 「価値の体系」を挙げた。
5 ジャーメイン (Germain.C.) とギッターマン (Gitterman.A.) は, 役割理論を基盤とし, 人と環境との交互作用に焦点を当て両者の調和を目指す理論を説いた。

おー人名シリーズ。結構きいたことがある人が多いので, しっかり解いておきたいです。

選択肢1 正答。ケースワークの母と呼ばれるリッチモンドは, 『社会診断』 『ソーシャル・ケースワークとは何か』などの著作で有名です。彼女は, ケースワークを 「人とその社会的環境との間の個別的な効果を意識して行う調整によって, その人のパーソナリティーを発達させる諸過程からなる」と定義しました。

選択肢2 誤り。課題中心アプローチは, リード, エプスタインが提唱した折衷モデルです。利用者と援助者が協力して解決しやすい方法を探る目的をもった行動をアクションとよび,一連のアクションが「課題」(task)であるとして, 具体的な課題を設定する計画的なプロセスを重視しました。パールマンは, 問題解決アプローチで4つのPを提唱した人ですね。

選択肢3 誤り。「状況の中の人」といえば, 診断主義学派の流れを組むホリスで有名です。ホリスシステム論的アプローチを提唱し,直接的技法と間接的技法を体系化し, 伝統的な「医学モデル」から「生活モデル」への転換を図りました。診断主義のハミルトンは, 『ケースワークの理論と実際』を著し, 社会的側面よりも心理的側面を重視したアプローチで有名です。

選択肢4 誤り。選択肢はジェネラリストアプローチの説明です。バートレットは 『ソーシャルワーク実践の共通基盤』(1970)で, ソーシャルワークの専門職性を全体として捉え,ソーシャルワーク実践に共通する拠り所を求めて理論的な整理を行い,としてまとめています。リードは, 選択肢2で説明した課題中心モデルの提唱者です。

選択肢5 誤り。ジャーメインは, エコロジカルライフモデルの提唱者です。彼らは, 人が生活環境と共存するための能力( コーピング) と環境が人間のニーズに適応すること(レスポンス )の過不足が問題行動に」結びつくと考えました。選択肢はパールマンの説明だと思います。

さて, 今日はここまでー。この記事が投稿されている頃 (予約投稿) は僕はカナダで学会発表中の予定です。うまくいっていますようにー。飛行機落ちませんようにー!

カテゴリー: 第28回社会専門科目, 相談援助の基盤と専門職 パーマリンク