第25回-精神専門55

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次の事例を読んで, 問題55から問題57までについて答えなさい。
〔事 例〕
Q市にあるW相談支援事業所のF精神保健福祉士は, 市の保健センターのG保健師から, 60代の女性から一人息子のHさん (40歳, 男性) のひきこもりに関する電話相談があり, 精神障害の可能性もあるため訪問に同行してほしいとの依頼を受けた。
F精神保健福祉士は, G保健師とともにこの家庭を訪問し, 両親との面接を行った。訪問の目的を伝えると父親は硬い表情で黙っていたが, 母親は自分から話を始めた。母親の話では, Hさんは大学を卒業後に地元の企業に就職したが, 元来気弱な性格で, 社内でのちょっとしたトラブルをきっかけに26歳で退社して以来, 家から外に出なくなってしまったのだという。当初は, 食事の時などには家族と顔を合わせていたものの.2年ほどたったころから「人が怖い」などと言うようになり, 29歳の時には父親が無理やり病院に連れて行っている。この時, 医師から通院を勧められたのだが, Hさんは治療を拒否し, 以後は受診していない。その後は, 家族とも顔を合わせなくなり, 自室にひきこもってTVゲームやビデオを見るだけの生活が続いている。しかし, 今年定年退職した父親が強引にHさんの部屋に入って「いつまでも甘えてないで働け」と強く言うようになり, 最近ではイライラしたHさんが父親と口論になることも増えてきたため, 母親が父親に内緒で保健センターに相談をしたのだという。(問題55)

長文事例ですね。またセンテンスごとに解説していきます。

問題55 次の記述のうち, この時点でのF精神保健福祉士の家族への対応として, 適切なものを1つ選びなさい。
1 Hさんがひきこもり始めた早期に専門的対応が必要であったことを伝える。
2 Hさんを無理やりではなく, 説得して受診きせるべきであったと伝える。
3 Hさんをすぐに受診させるための助言を行う。
4 Hさん及び家族が置かれていた状況を整理して確認し合う。
5 Hさんの心理状態について解説する。

この問題は比較的正答率が高かったのではないでしょうか。

選択肢1 こんなこと精神保健福祉士に判断する権利も, 能力もありませんね。誤りです。

選択肢2 もちろん行ってる事は間違ってはいないかもしれませんが, 両親も本人のために良かれと思って行ったことです。それを責める権利はだれにもないでしょう。誤り。

選択肢3 そもそもHさんに受診が必要かどうかについて判断する情報がまったくありません。誤り。

選択肢4 これが正答ですね。それぞれの置かれている立場や状況をまずアセスメントして共通化することから援助関係は始めると思います。

選択肢5  事例の段階ではまだHさんに出会ってもいない状況です。本人の心情を想像のみで代弁するのは誤りですね。

ところで, この事例についてですが「F精神保健福祉士は, G保健師とともにこの家庭を訪問し, 両親との面接を行った。訪問の目的を伝えると父親は硬い表情で黙っていたが, 母親は自分から話を始めた。」この部分おかしくないですか??

クラインアントの家に訪問に行く前に, なぜ訪問に行くのか伝えていないの??という感じがしました。読み進んでいくと,

「母親が父親に内緒で保健センターに相談をしたのだという」

母親が内緒で保健センターに相談に行き, その内緒の依頼を受けて精神保健福祉士も一緒になって訪問する。実際の現場でこのようなことがどれだけ行われているか分かりませんが, 僕だったら絶対にやりません。相手が自傷他害の恐れがあるなど, 危機介入の必要があるならまだしも, 父親にまで内緒ってのはどうなんでしょうか。。。

今日はここまで。

 

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