第28回-社会専門102

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問題102 事例を読んで, G相談支援専門員 (社会福祉士) のアプローチにより引き出された利用者の心理的特性を表すものとして, 適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
軽度の知的障害のあるHさんは, 高校を卒業後, 知り合いの観光旅館で雑用係として勤めていたが, 同僚から度々ミスを厳しく指摘されて辞めてしまい, 無気力になって自宅に籠もってしまった。心配した母親が相談支援事業所に相談に来た。G相談支援専門員はHさんと何度か面談し本人の気持ちを確認した上で, 近隣のNPO法人が運営する高齢者向けの喫茶ルームのボランテイアを紹介した。それから3か月が経過したが, G相談支援専門員はHさんの小さな成功体験を共有することで支援している。
1 自己斉一性
2 自己効力感
3 自己開示
4 自尊感情
5 セルフアドボカシー

結構簡単に回答できた内容だと思います。せっかくなのでその他の選択肢もしっかり見ておきましょう。

選択肢1 誤り。自己斉一性はあまり聞き慣れない言葉ですね。これはエリクソンが提唱したアイデンティティの要素の一つで, 自分が自分であるという感覚のことを指します。ちなみにそれ以外は, 連続性です。つまり, 自分が自分であるという感覚が継続してあることがアイデンティティの確立した状態であるという意味ですね。事例とは関係なさそうです。

選択肢2 正答。障害に苦しむ人の多くは, 失敗体験がどうしても多くなり, 「自分はだめなやつだ」と言う感覚から, 新しいことに主体的に取り組むことができにくくなっています。事例のように, 成功体験を繰り返すことで, 自己効力感を高めていけるようなアプローチが求められます。

選択肢3 誤り。自己開示は, 面接者の考えをありのままにクライアントに伝える面接技法の一つです。事例とは関係なさそうですね。

選択肢4 正答。自尊感情は読んで字のごとく, 自分自身を尊敬する感情です。選択肢3の解説にもあるように脅かされた自尊感情を高めていくアプローチが必要となります。

選択肢5 誤り。セルフアドボカシーはクライアントが自ら行う権利擁護活動のことですね。事例とは関係ないと思います。

さてあと一問!

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