第28回-精神専門12

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問題12 次のうち, エリクソン (Erikson, E.) による発達理論における, 成人期初期 (young adult) の発達課題として, 正しいものを1つ選びなさい。
1「基本的信頼」対「基本的不信」
2「自律性」対「恥・疑惑」
3「勤勉性」対「劣等感」
4「同一性」対「同一性拡散」
5「親密」対「孤立」

おおエリクソン。なぜに心理学でなくということはさておいて, 確実に解いておきたい。
エリクソンは, 心理社会的側面に着目した発達理論を提唱しました。各段階で達成すべき課題と, 危機を設定したのが特徴的です。こちらを参考にしました。

選択肢1 誤り。選択肢は乳児期の発達課題です。エリクソンは, 乳時期の発達課題として, 口を通じて自分の周りの世界を学び, 周囲の世界が信頼するに値すると感じることができるか否かで, その後の親密な人間関係を築き上げていく土台が作られると考えました。フロイトの理論で言うと口唇期にあたるかなあ。

選択肢2 誤り。選択肢は児童前期の発達課題です。この時期は, 排泄のコントロールを通じて自律性の感覚を身につけることが重要です。うまく排泄ができれば親にほめられ, 失敗すると恥ずかしい思いを, 幼児は体験します。精神分析などではこの時期のトイレットコントロールの有無などを重視したりします。

選択肢3 誤り。選択肢は学齢期の発達課題です。学齢期に達すると, 子どもは学校で急速に知識や技能を修得します。この際に勤勉さが十分に成功しないと, 劣等感が生ずるとされています。この頃はギャングエイジとも言われ, 周囲の仲間との集団生活が重要なテーマになってくる時期でもありますね。

選択肢4 誤り。選択肢は青年期の発達課題です。この時期は, 自分がどんな人間かということ (同一性) を確立することが課題となり, これに失敗すると役割混乱が起こって同一性拡散という病理が生ずるとしています。同一性ってなにやらわかりにくいけど, 僕はざっくりと「自分が許している自分らしさ」みないなものと理解しています。例えば, 目上の人に怒られたり, 他者をうらやましがったりしたとしても「まあ俺は俺だし, 俺は俺自身のこと嫌いじゃないしね」みたいな感覚かなあ。

選択肢5 正答。前成人期の発達課題は, 他者と真の親密な相互関係をもつという課題です。これもざっくりとした説明になってしまいますが, 自分とは違う価値観の他者と, 価値観の違いをもったままでお互いに配慮し合えるかどうかという感じです。これって結構難しい発達課題ですよね。大人でもできていない人いっぱいいるもの。

さて今日はここまでー。

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