第28回-精神専門21

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問題21 精神保健福祉士に求められる新しい社会的ニーズやその対応に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 児童虐待への対応として, 後遺症である心的外傷後ストレス障害 (PTSD) や複雑性PTSDを理解した支援が必要である。
2 学校における児童虐待や発達障害への対応として, スクールソーシャルワーカー活用事業では, 精神保健福祉士が必置とされている。
3 産業保健におけるメンタルヘルスへの対応として, セルフケア, ラインによるケアを行うものを従業員支援プログラム (EAP) という。
4 高次脳機能障害者への対応として, うつ状態, 不眠, フラッシュバック, 感情の凍りつき等に配慮した支援が求められている。
5 重大な他害行為を行った精神障害者への対応として, 「医療観察法」における処遇 については, 精神保健福祉士及び保護観察官が担当することが規定されている。
(注) 「医療観察法」とは, 「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及 び観察等に関する法律」のことである。

さて, 3科目目。やるぞえー。
精神保健福祉士の業務を包括的に説明する内容ですねー。これも解いておきたい問題です。

選択肢1 正答。PTSD(心的外傷後ストレス障害)は, 強烈なショック体験, 強い精神的ストレスが影響して生じるものです。その中でも複雑性PTSDは, 慢性的に続く心の傷が原因となって, 心身に異常をきたす状態像です。例えば, 虐待やいじめ, 性的暴行などが何度も繰り返されると, その異常行為が本人の中であたり前になり, 対人恐怖や自信喪失などの症状があらわれます。まあ「理解した支援」は誤りにはしにくい。

選択肢2 誤り。スクールソーシャルワーカー連発ですねえ。スクールソーシャルワーカー事業では「学校内あるいは学校の枠を越えて, 関係機関等との連携をより一層強化し, 問題を抱える児童生徒の課題解決を図るためのコーディネーター的な存在」としてスクールソーシャルワーカーを位置づけています。ただ, これはあくまで事業なので「必置」規定はありません。また必ずしも精神保健福祉士にも限定されていないと思います。

選択肢3 誤り。選択肢の中にある「ラインによるケア」とは, 管理監督者が行うケアで, 日頃の職場環境の把握と改善, 部下の相談対応を行うことなどを指します。部下のちょっとした変化に気づいたり, サポートをすることを示します。従業員支援プログラム (EAP) はアメリカで生まれた従業員を対象にしたメンタルヘルスケアです。職場への不適応のみならず, 仕事上のパフォーマンスに影響を与えうる個人の問題を支援の対象としています。この問題かなり来年も出そうな雰囲気ありますね。

選択肢4 誤り。選択肢の症状はPTSDや虐待などで出現しやすい症状ではないかなあ。高次脳機能障害は, 脳損傷に起因する認知障害全般を指し, 失語・失行・失認のほか記憶障害, 注意障害, 遂行機能障害, 社会的行動障害などが出現します。

選択肢5 誤り。これ出題者の意図がよくわからないのですが, 多分保護観察官のところを社会復帰調整官に変えたかったのかな?

さて今日もあと一科目。

 

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