第28回-精神専門30-32

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次の事例を読んで, 問題30から問題32までについて答えなさい。
〔事例〕
Cさん (53歳, 男性) は大手機械メーカーで30年勤務してきた。半年ほど前より, パソコンの前でぼんやりしている姿が見受けられるようになり, その後, 会議を無断 で欠席するなど, 仕事上のミスがみられ業務に支障を来すようになった。上司の強い勧めにより精神科クリニックを受診したところ, 若年性認知症 (アルツハイマー病) と診断され, 休職することとなった。Cさんは, 幼稚園で事務職をしている妻, 高校3 年生の息子との3人暮らしである。その後のCさんには, 日常生活上の大きなトラブルはないが, 月に2回の受診以外は, 特にすることもなく家で過ごしていた。ある日, 通院に同行した妻はクリニック で, 「夫に仕事のことを持ちかけてもイライラされて会話になりませんし, 息子の受験のこともあって, 今後の生活が不安です」とD精神保健福祉士に話した。そこで診察終了後, Cさん, 妻との面談を行うことになった。 (問題30)
面談から半月が過ぎた頃, NPO法人が運営する若年性認知症サポートセンター (以下「センター」という。) の活動を報じた新聞記事を目にしたCさんは, D精神保健福祉士に相談し, センターのE精神保健福祉士を紹介され見学に行った。センターは若年性認知症の人たちが集まり活動できる場として開所したばかりであり, Cさんの見学時には, 利用者がE精神保健福祉士と共に, 自分たちの思いや希望, 今後のセンターの活動内容について積極的に話合いをしているところであった。 (問題31)
見学時の雰囲気が良かったためCさんは, 翌週から利用を開始し3か月が経過した。妻もセンターの家族会に参加するようになった。Cさんは一度に2つの作業をすることが難しくなるといった症状の進行もみられるが, ビルや公園の清掃作業に参加し, また自ら提案したスポーツ行事が来月開催されることになるなど, 前向きな日々を送っている。一方, E精神保健福祉士は, 若年性認知症に対する地域住民の理解を図る活動が, 利用者や今後のセンターにとって重要であると考え, 準備を進めている。 (問題32)

さて, 事例問題です。今日は3問一気にやっちゃいましょう!
事例問題の解説って意外と大変なんですよねえ。。

問題30 次の記述のうち, この時点でのD精神保健福祉士による支援として, 適切なものを1つ選びなさい。
1 妻の不安な気持ちを理解するよう, Cさんに繰り返し説明する。
2 今後の生活設計を具体化するために, 地域包括支援センターを紹介する。
3 症状の進行を予測し, 成年後見制度の手続を勧める。
4 息子の大学受験への影響を考え, 入院について主治医と相談する。
5 現時点におけるCさんと妻の思いや考えを相互に確認し, 共有する。

選択肢1 誤り。もちろん家族なのでCさんも妻のことを考える必要があるとは思いますが, この時点でCさんに過度に責任を追わせるのはどうなんでしょうか。

選択肢2 誤り。うーん。地域包括支援センターは「介護保険法で定められた, 地域住民の保健・福祉・医療の向上, 虐待防止, 介護予防マネジメントなどを総合的に行う機関」なので, Cさんは55歳であり, 介護保険の第二号保険者なので利用できる権利はあると思います。ただ「日常生活上の大きなトラブルはない」状況では積極的に使うべきとは思えないなあ。

選択肢3 誤り。判断能力が高い段階で, 任意後見人制度を利用することはありえますが, この時点で成年後見人制度の利用はちょっと早急過ぎますね。

選択肢4 誤り。いきなり入院ってのはありませんね。

選択肢5 正答。誤りにする場所がありません。こういうタイプの問題はサービス問題だと思います。

問題31 次のうち, この話し合いの場面でのE精神保健福祉士が果たす役割として, 適切なものを一つ選びなさい。

1 ピアカウンセラー
2 アドボケーター
3 ファシリテーター
4 ケアマネージャー
5 アドミニストレーター

よく出題される用語問題ですね。できるだけ自分コピペで対応しちゃおう!

選択肢1 誤り。ピアカウンセラーは, 当事者同士がお互いに平等な立場で話を聞き合い, サポートしあうことで自立生活を実現する手助けをする役割です。E精神保健福祉士が果たす役割ではありませんね。

選択肢2 誤り。アドボカシーの実践者をアドボケーターと呼びます。利用者が自分で権利を主張できるよう支持し, 共に主張する存在です。事例とは合致しませんね。

選択肢3 正答。ファシリテーターとは, 議事の進行や問題解決に向けて中立的な立場から支援を行う存在です。促進者を意味する単語で, グループなどでワーカーがこの役割を担うことはよく求められます。

選択肢4 誤り。ケアマネージャーは読んで字のごとくケアをマネジメントする存在なので, 事例とは合致しません。

選択肢5 誤り。アドミニストレーターはもともとは, 保守, 点検などの意味を持つ言葉ですが, ソーシャルワーカーの役割として考えると, ソーシャルアドミニストレーション (社会福祉運営管理)として, 管理者や社会福祉従事者, 利用者および関係者を対象として, サービス計画や運営改善やニーズのフィードバックを行うことを目的とする技術を指します。事例とは合致しませんね。

 

問題32 次のうち, E精神保健福祉士が今後用いる方法として, 適切なものを一つ選びなさい。

1 アウトリーチ
2 ストレスマネジメント
3 コミュニティベースドリハビリテーション
4 ソーシャルアクション
5 コンサルテーション

これも用語問題ですね。今までに出題された内容である程度選択肢は絞れたかなあ。「今後」の定義がわからないですが, 直後と思えば良さそうです。今後を長く取れば選択の全てが正答になってしまいます (笑)。

選択肢1 誤り。アウトリーチとは, クライエントの日常生活の場(自宅など)に出向き, 必要な情報やサービスを提供する活動です。今後あってもいいとは思いますが, 事例の状況ではそのニーズは見て取れません。

選択肢2 誤り。ストレスマネジメントは, メンタルヘルスの保持のために重要な方法ですが, 事例とは一切合致しませんね。他に用語がなかったから無理やり入れたって感じですね。

選択肢3 誤り。2回めの出題。自分コピペです。コミュニティベースドリハビリテーション (CBR) は, これまでの施設を中心としたリハビリテーションに代わる新たな方法として, リハビリテーションを地域社会中心型アプローチで行おうというものです。事例では, Cさんたちはすでに地域に根ざして活動していると思うので事例とはちょっと異なりますね。

選択肢4 正答。ソーシャルアクションは, 社会福祉制度やサービスの新設・改善などを目指した社会活動です。「若年性認知症に対する地域住民の理解を図る活動」とありますので, これが合致していると思います。

選択肢5 誤り。コンサルテーションとは, 機関・組織・個人が 他部門 の専門家との相談・協議・指導を受けることを言います。これも事例とは合致しませんね!

ふう。だいぶ疲れているので誤字多そうだなあ。。見つけた人は教えてください。今日はここまでー。

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