第25回-精神専門73

Pocket

次の記述のうち, 精神障害者の生活支援における精神障害のとらえ方として, 適切なものを1つ選びなさい。
1 ストレングスに注目することによって, 精神障害者の生活のしづらさを客観視し, 障害特性に焦点化する。
2 ICF (国際生活機能分類) を用いることによって, 疾患から障害への諸帰結として, 生物レベル, 個人レベル, 社会レベルからとらえる。
3 社会の標準に合わせることを目的に訓練することによって, 精神障害は改善することができる。
4 活動の制限や参加の制約が, 精神疾患に好ましくない影響を与えるというように, 疾病と障害の併存が挙げられる。
5 生涯を通じて約40人に1人は精神疾患にかかるために, 精神障害を社会的扶養の問題としてとらえる。

さて, 最後の科目ですね。この問題もちょっと難しそう。。

選択肢1 前半部分は正しいと思います。後半部分の「障害特性に焦点化する」というのは誤りでしょう。精神障害に関わらず, 生活のしずらさは環境との相互作用で決定されます。またピープルファースト (まず人があり, 障害はその人の一部) という考え方とは大きく異なっていますね。

選択肢2 ICFに関する問題は, 例年出題されていたのですが専門科目ではここだけですね。これまでのWHO国際障害分類 (ICIDH) がマイナス面を分類するという考え方が中心であったのに対し, ICFは, 生活機能というプラス面からみるように視点を転換し, さらに環境因子等の観点を加えたことが特徴です。「疾患から障害への諸帰結」はICIDHの考え方なので誤りですね。

選択肢3 これは明らかに誤りですね。ミケルセンが述べたように「変わらなければならないのは社会」です。障害者を訓練することによって標準に合わせようという考え方は生活モデルとは言えないでしょう。

選択肢4 これが正答です。ICFモデルでも, 疾病から障害という一元的な関係ではなくそれらが複雑に絡み合う事が言われています。設問はウィークネスな例ですが, 逆に言えば, 活動や参加を保障することで, 精神疾患に好ましい影響を与える事も考えられます。

選択肢5  ここは自信がありませんねええ。。。社会的扶養というのは, 例えばいつ誰がなってもおかしくないから社会全体で支えましょうというような考え方です。これは, 日本における障害者の置かれている立場では仕方がない一面もありますが, 選択肢の前提として「精神障害者の生活支援における精神障害のとらえ方」と書いてある以上, 不適切と考えられるのかなあ。一応誤りだと思います。

今日はここまで。

 

カテゴリー: 第25回精神専門科目, 精神障害者の生活支援システム パーマリンク

コメントを残す