第25回-社会専門90

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問題90 調査手法としての観察法に関する次の記述のうち, 適切なものを1つ選びなさい。
1 観察法は質的データを収集するための方法であり, 量的データの収集においては用いられない。
2 統制的観察と非統制的観察の違いは, 研究者が部外者として観察を行うか否かである。
3 フィールドワーカーの調査者としての立場は, 「完全な参加者」から「完全な観察者」まで4段階があるが, よりよいデータ収集のためには「完全な観察者」の役割を目指すのが望ましい。
4 フィールドワークにおいて, 観察されたことのメモをとる場合には, 周囲の状況にかかわらず, 観察を行ったその場で速やかにとることが望ましい。
5 参与観察において, その集団生活に慣れ, 調査対象に同化し過ぎることは望ましくない。

これは比較的簡単に思えた問題ですね。こういう問題はしっかり解いておきたいので丁寧に見ておきましょう。

選択肢1 誤り。量的データは, 簡単に言うと数字になるデータで, 質的データは数字にならないデータのことです。観察法は, 他者の行動を観察する方法なので, 質的データを取るのに便利な方法です。例えば, 子どもの行動を観察法でデータ収集している時に, 「不安そうな行動を見せた」というのは質的なデータですよね。一方, 「子どもが母親のほうに視線を向けた回数」は量的データでもあります。そういう意味では, 「量的データの収集においては用いられない」は言い過ぎですね。

選択肢2 誤り。これは結構悩みました。統制的観察非統制的観察の違いは, 研究者が部外者か否かではなく, 観察対象に関与するか否かが重要だと思います。例えば, 部外者がデイケアの調査をするとしても, 実際にデイケアのメンバーさんに関わりながら調査をすれば, それは非統制的観察といえるのでがないでしょうか,

選択肢3 誤り。「よりよいデータ」というのは, 研究の目的によって異なります。ちなみにフィールドワーカーとしての立場は, 「完全な参加者」, 「観察者としての参加者」「参加者としての観察者」「完全な観察者」の4つに分類されます。これらの4つの分類に応じて, よりよいデータの取り方は変わってくると思います。

選択肢4 誤り。「周囲の状況にかかわらず」ってのが明らかにおかしいですね。メモを取ることで, 対象者の自由な行動を阻害してしまう可能性も考えられます。

選択肢5 正答。参与観察において, 調査者が対象に過度にコミットしてしまい客観的な視点を失ってしまうことを, ゴーイングネイティブといいます。

さて, 社会福祉士専門科目。1科目終了ー。やはり同じ科目をどんどんやったほうが良さそうなので, 次は第25回にチャレンジ。やはり四年分一気はかなりきつい。。今日はここまでにしときますー。

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