第25回-社会専門110

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問題110 事例を読んで, N社会福祉士のとるべき対応に関する次の記述のうち, この段階で最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
A子 (11歳) は, 半年前から不登校の状態 にある。成績がよく, 友人関係も良好なA子が不登校になる原因は, 特に見当たらない。しかし, 家族や小学校の担任が何度通学を促しても, A子は学校に行こうとはしなかった。不登校児支援の特定非営利活動法人に勤務するN社会福祉士は, 家族の依頼を受けて, A子の自宅を初めて訪問した。A子は, 最初は何も話さなかったが, 少しずつ自分の家族について話し始めた。

1 開かれた質問を用いて不登校の理由を詳細に尋ねる。
2 家族関係に関する閉ざされた質問を連続して行う。
3 A子の発言のなかの重要な語句や内容を, A子にフィードバックして示す。
4 A子の登校意欲を高めるために要約の技法を用いたやりとりを行う。
5 A子が抱える葛藤に焦点を当てて直面化を図る。

事例問題なのでざっくり解説します。とおもったら結構難しく感じましたね。

選択肢1 誤り。開かれた質問 (オープンクエスチョン)は, 基本的な姿勢としては間違っていません。ただこの時期で「詳細に」尋ねるのはちょっと時期尚早かもしれません (すくなくとも出題者の意図としては)。これが「本人のペースに合わせて」だったら文句なく正答ですね。

選択肢2 誤り。閉ざされた質問 (クローズドクエスチョン)は, 「Yes, No」や複数の質問から回答できる質問です。この質問は答え易いですが, クライアントが話したい内容を話せないのでこの段階のラポール形成のためにはあまり適切とは言えません。

選択肢3 正答。これは反射という援助技術の説明だと思います。客観的な事実や本人の感情を適切に反射することで, クライントは「聞いてもらえた, わかってもらえた」という感覚を持つことができるのでラポールの形成に役立ちます。

選択肢4 誤り。うーん。要約は, 相手の言葉の内容をまとめて相手に返す面接技法です。これによってクライアントの感情を明確にしたり, 情報を整理することができます。登校意欲を高めるための技法ではありませんね。

選択肢5 誤り。直面化は, クライアントの言葉の中にある矛盾を指摘することで, 相手の内的な葛藤を明るみにしていく技法です。これは面接者とクライアントの間にラポールが形成していない段階でやってしまうとクライアントを防衛的にしてしまう可能性がありますね。

結構おもしろい事例問題でしたねー。

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