第25回-社会専門134

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問題134 事例を読んで, W市の地域包括支援センターに勤務するA社会福祉士の対応に関する次の記述のうち, 適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
市内の民生委員Bさんが, 自分の担当地域に住むCさん (79歳, 女性) についての相談で地域包括支援センターに来所し, A社会福祉士が対応した。相談によると, Cさんは生涯独身で, 高校教師を定年まで勤めて退職した後も1人でW市内の自分名義のマンションで暮らしてきた。身内は他県に住む甥が1人いるが, ほとんど交流はないという。生活は自分の年金で賄えており, 預貯金も多少はあるようだとのことであった。しかし, 昨年夏に自宅浴室で転倒, 骨折し, 1か月ほど入院して自宅に戻ったが, その後自宅内の片づけや買い物, 外出もおっくうがり, 近隣との付き合いも疎遠になってきている。介護サービスも利用していない。このまま自宅での生活を望んでいるが, どうしたらよいか, という相談であった。
1 Cさんは介護保険の受給者ではないので, 市の高齢者福祉担当窓口に回ってもらった。
2 在宅生活が希望なので, 近隣住民主体の支え合いの組織化に取り組むことにした。
3 介護保険の認定申請ができるのは親族なので, 他県に住む甥に連絡した。
4 民生委員BさんをCさんの成年後見人に選任し, 資産の管理を依頼した。
5 専門的対応も必要なので, Bさんも入れた多職種協働の地域ケア会議を開いた。

事例問題ですね。一年に2問くらいは出るみたいですね。ここはしっかりと解いておきたいところです。

選択肢1 誤り。地域包括支援センターは要介護認定を受けている人だけではなく, 介護予防支援など高齢者に関わる支援を包括的に行う役割を持ちます。

選択肢2 正答。現状では, フォーマルなサービスを積極的に利用するほど介護度が高いわけではありません。そのため, 見守りなどのインフォーマルな近隣組織ができれば本人の在宅生活には有効な社会資源になりそうです。

選択肢3 誤り。親族でないと介護保険を申請できないというルールはありません。長いですけど条文を抜粋します。
「 要介護認定を受けようとする被保険者は, 厚生労働省令で定めるところにより, 申請書に被保険者証を添付して市町村に申請をしなければならない。この場合に おいて, 当該被保険者は, 厚生労働省令で定めるところにより, 第四十六条第一項に規定する指定居宅介護支援事業者, 地域密着型介護老人福祉施設若しくは介 護保険施設であって厚生労働省令で定めるもの又は第百十五条の四十六第一項に規定する地域包括支援センターに, 当該申請に関する手続を代わって行わせるこ とができる。 」

選択肢4 誤り。まず地域包括支援センターに成年後見人を選任する権限はありません。またCさんは判断能力も十分におあるため, 成年後見の対象にはならないと思います。任意後見人なら可能性はありますが。。

選択肢5 正答。優先順位が高いかどうかは別として, 今後のことを考えると地域ケア会議の招集は十分に考えられます。また, その際には地域のキーパーソンでもある民生委員のBさんが参加することにも問題はないと思います。

さて今日もあと一問ー!

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