第26回-社会専門85

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問題85 社会調査における個人情報保護に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 個人情報の保護は, 調査に直接かかわりのない第三者に対しての個人情報の漏えいに注意することなので, 共同研究者への個人情報の秘匿は考えなくてもよい。
2 調査に使用した調査原票は, 社会的にも貴重な文書であるので, 集計・分析等が終了した後個人情報を削除し, データアーカイブスに登録することを義務づけられている。
3 インフォームドコンセント (説明と同意) を求めるかどうかは, 調査者の判断にゆだねられる。
4 調査の依頼文書を作成する際には, 依頼者側の個人情報保護の観点からも, 電話番号や電子メールのアドレスは掲載してはいけない。
5 調査データを事例として公表する場合, その事例が特定されるおそれがある場合は, 例えば, 実際の年齢ではなく「前期高齢者」などと記述するのが望ましい。

ちょっとサービス問題という感じです。日本語のニュアンスでだいぶ絞れそうです。

選択肢1 誤り。んー, まあ一般的に共同研究者とはデータの共有はします (むしろお互いに責任を持つことになります)。ただ「個人情報の秘匿は考えなくてもよい」ってのは明らかに語弊がありますねえ。調査参加者が, 氏名や個人情報を隠すことを希望される場合もあるでしょうし。

選択肢2 誤り。これは結構複雑な問題です。近年の国際的な流れでは選択肢のような方向性に進んでいます。そのために「データアーカイブズ」に登録しても良いという前提の同意書を取っておくことが推奨されます。ただ, 現在の状況では「義務づけられている」とまではいえませんね。

選択肢3 誤り。調査を行うにあたっては, インフォームドコンセントは必須です。

選択肢4 誤り。むしろ依頼文書には, 依頼者側の所属先, 電話番号や電子メールのアドレス等を積極的に記述することが求められます。

選択肢5 正答。事例として利用する場合には, 対象者が特定される個人情報の秘匿には十分な注意を払う必要があります。選択肢のようなケースでは, 十分に修正を加えたうえで本人にそれを見てもらい, 同意を得てから公表するというプロセスが必要になります。

ふう。少しのんびりできた問題でしたねー。

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