第25回-精神専門4

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患者の訴えと精神症状に関する組み合わせのうち, 正しいものを1つ選びなさい。

1  「自分が今どこにいるのか分からない」                          ———  失認

2  「自分の体に勝手に力が入ってしまう」                          ———  脱抑制

3 「自分のものでない考えが次々頭に浮かぶ」                   ———  観念本逸

4 「自分で計画して行動することができない」                    ——— 遂行機能障害

5 「自分がなんのために生きているのか分からなくなる」———自我障害

第4問目。問題打ち込むの疲れますねえ。しつこいですが誤字脱字あったら教えてくださいね。。

この問題も試験初期の頃から出題されていた問題形式です。症状の多くは四字熟語で表されていて漢字に惑わせやすいので注意が必要です。

こういう形式の場合, 心理としては左側の「」を見てしまうと思いますが, まず右側の単語の部分を見るのがコツだと思います。ペアで覚えるというよりも, まず右側の単語をみて左側と照合していくイメージでしょうか。

では選択肢ごとに見ていきましょう。

選択肢1   失認とは, 局在的な脳の機能不全から引き起こされる症状です。

脳卒中後の片麻痺, 認知症などで出現しやすいと言われています。これは, 読んで字のごとく対象が何であるかを認識できない状態です。例えば顔を見ても誰か分からないけど声を聞けば分かるという感じでしょうか。似たような症状に失行という症状もあります。これは, 分かるけど出来ないという状態ですね。箸を見るとそれが食事に使う物であることは理解できるが実際に使うことができないというような状態です。両者の覚え方としては, やはり漢字から覚えておくといいですね。「認識を失うか」「行為を失うか」。僕はこういう問題はすごい苦手です。

ちなみに, 選択肢の1  「自分が今どこにいるのか分からない」   というのは, 失見当識の症状です。失見当識は, 時間や方向の概念がよく分からなくなってしまう症状ですね。

よって選択肢1は誤りです。

選択肢2の脱抑制はあまり聞き慣れない言葉です。アルコールや脳の外傷を原因として衝動や感情を抑えることが不能になった状態のことを指します。選択肢の「自分の体に勝手に力が入ってしまう」は, 出題者がどの症状を指しているのかはわかりませんでした。

統合失調症の自我障害の1つである「させられ体験」や「作為体験」を指しているのかと思いましたが, これらの症状は「他人の意思で自分が動かされている」なので表現としては少し緩やかすぎるかなあという感じです。薬剤性ジスキネジアでも選択肢文のような症状が出現することもありますね。

選択肢3の観念奔逸は, 「話や思考が飛躍し拡散していく」症状であり, そう状態によってよく呈される症状です。「自分のものでない考えが次々頭に浮かぶ」のは思考吸入の説明ではないかと思います。

選択肢4の遂行機能障害は, 目的を持った一連の活動の制限を指します。目標と立ててそこまでのプロセスを消化するのが困難な状態と言えます。前頭葉の頭部外傷や高次脳機能障害などで出現する症状ですね。これが正解。

選択肢5の自我障害は, 能動性 , 単一性 , 同一性 , 境界性の4つの指標からなる精神科特有の概念で自分は他人や外界と区別された存在であるということが認識できていない状態を指します。選択肢3の「させられ体験」や「作為体験」などが代表的な代表的な自我障害ですね。

選択肢の「自分がなんのために生きているのか分からなくなる」 はうつ病の希死念慮の症状を示していると思います。

症状についてはかなり覚えるのは大変ですが, ワークブックなどでチェックしておくといいかもしれません。

 


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