第25回-共通科目6

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Aさん (70歳) は, ある日, 急に意識障害を生じて倒れ, 救急病院に入院した。数日後, 意識は回復したが, 右側の片麻痺が後遺症として残った。右利きなので, 日常生活に多くの不便を生じることになった。更に, 発語が乏しくなり, 「あ-, う-」程度の言葉を発するのみとなった。発語しようとするときは, 懸命でもどかしい表情になり, 言いたいことがあるようにみえる。言葉の了解はよいようで, 他者の指示に従って行動することができる。例えば, 眼鏡を渡して, 「これを使ってみてください」と指示すれば, 眼鏡をかけることができる。咽喉の動きはよく嚥下困難はない。舌の動きはよい。
次のうち, Aさんの症状として最も適切なものを1つ選びなさい。
1 全失語
2 感覚性 (ウェルニッケ) 失語
3 運動性 (ブローカ) 失語
4 構音障害
5 健忘性失語

これはこちらの問題とかなりかぶっていますね。それだけ大事な範囲なんでしょうけども。。

選択肢1 全失語とは, 左脳が傷つくことによって起こる失語症のひとつです。右麻痺という症状からも左脳に一定の損傷があることは想像できますが, 「すべての言語機能に重度の障害が起き, まったく無言の状態になるか, もしくは強く働きかけた場合に意味不明の言葉を発する」という全失語の定義にはあてはまりませんね。誤り。

選択肢2  事例から判断すると, Aさんは「言葉の了解はよい」ということからも, ウェルニッケ野の損傷で起こる「人の話す内容が理解できない状態」ではありませんね。誤り。

選択肢3 ブローカ中枢の損傷で起こる失語症は, 自分の思っていることを言語に表現できないけど, 人の言っていることは分かる状態です。事例に当てはまっていると思います。正答。

選択肢4 構音障害とは, 言語音を正しく言えないか, ほかの語音に置き替わる状態を差します。例えば「しっぱい」を「しったい」と発音してしまうような症状ですね。事例とは異なっていますね。

選択肢5 健忘性失語とは, 理解も比較的よく, 比較的発話量も多いが, 実際に伝えたいの言葉がなかなか出てこない症状です。

今日はここまでー。

 


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