第25回-共通科目27

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福祉政策及び関連分野の国際動向に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 韓国の金大中政権 (1998〜2003年) が提唱した「生産的福祉」とは, サービス供給体制の多元化, 市場化により福祉サービスの生産性を向上させることを目指す考え方である。
2 アメリカのオバマ政権は, 高齢者・障害者等のための医療保険制度であるメディケアの対象をその他のすべての国民にまで拡大することを目指し, その第一歩として2010年3月に「医療保険改革法」を成立させた。
3 イギリスのブレア政権の経済社会政策を支えた理念としての「第三の道」とは, 自由放任主義的な経済政策と, 社会主義的な計画経済を共に否定し, 社会民主主義の伝統的な考え方に沿って福祉国家の再建を図るという考え方である。
4 ILO (国際労働機関) が提唱しているディーセント・ワーク (働きがいのある人間らしい仕事) の実現を目指す構想では, 「仕事の創出」「仕事における諸権利の保障」「社会的保護の拡充」「社会対話の促進」という4つの戦略的目標が設定されている。
5 国際労働力移動の自由化を求めるWTO (世界貿易機関) の要請に従って, 日本政府は, 看護師・介護福祉士資格取得を目指すインドネシア人, フィリピン人に対して, 資格取得までの期間の研修, 就労と, 資格取得後の就労を認める措置を採った。
(注) 「医療保険改革法」とは, 「患者の保護及び購入可能な医療の提供に関する法律 「(ThePatientProtectionanClAffOrdableCareAct) 」のことである。

ぐぬぬ。これもまた難しい。。。しっかり理解しておかないと解けない問題でしょうね。

最近さぼっていたので今日もがんばって二問行きますー。

選択肢1 誤り。いろいろありますけどこちらが分かりやすいかな。。

金大統領の生産的福祉は, ①公正な市場秩序の確立を通じた一次的分配, ②国家による再分配, ③国家と市場が重なりあう領域における自活支援のための社会的投資, ④国民の生活の質の向上の3つの段階があります。金大統領は「民主主義・市場経済・生産的福祉の均衡的発展」をめざすことを新たな国政理念し, その際, 生産的福祉は「民主主義の実質的完成」と「市場経済の持続的発展」のために必要とされるとしました。つまり福祉サービスの多様化みたいに小さい枠ではなく, 経済や教育も含めた体系的な理念ということではないかと思います。

選択肢2 誤り。限りなく正解ではないでしょうか。。。しかし誤りとのことですね。オバマ政権の「医療保険改革法」は, 65歳以上のという枠組みではありますが, 究極的な目標には, 民間保険に加入できない中間・低所得層に対する無保険者を解消することを目的としています。将来的には低中所得者に強制的に医療保険に加入させ, 所得に応じて負担額の上限を設定, 上限を超えた分は政府が負担するという日本の国民皆保険に近い制度を検討しています。設問の誤っている部分として考えられるのは, その「第一歩」としてという所ですかね。こういう曖昧な問題は試験センターにしっかり説明してほしいなあ。。

選択肢3 誤り。イギリス, 第一の道は, 「ゆりかごから墓場まで」と言われる高福祉国家の路線, 第二の道は, サッチャリズム(新自由主義)です。

第三の道は基本的にサッチャリズムの改革の成果を継承しつつも, 最低限の社会的セーフティーネットを構築することで格差拡大にも配慮しようとする路線で, ニューレイバーとも言われています。選択肢では, 「社会民主主義の伝統的な考え」とありますが, むしろ社会主義的なスタンスと新自由主義的なスタンスのいいとこ取りを目指しましょうという感じで捉えるのがいいのかと思います。

選択肢4 正答。厚生労働省のページがこちらです。ディーセントワークは今後も出題される可能性があるので留意が必要ですね。

選択肢5 誤り。「WTO (世界貿易機関) の要請」ってところが間違っています。一応両国間の合意(EPA 経済連携協定) に基づいて行われているものです。

現代社会長いなああ。。

 

 


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