第26回–共通科目82

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問題82 市町村が実施する成年後見制度利用支援事業に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村長申立て以外の場合を, 対象とすることはできない。
2 申立て費用だけでなく, 成年後見人等の報酬も対象とすることができる。
3 高齢者ではない知的障害者及び精神障害者を対象とすることはできない。
4「後見」を対象とし, 「保佐」「補助」を対象とすることはできない。
5 社会福祉法における第一種社会福祉事業と位置づけられている。

これは自立支援の中でも出題されることのある内容ですね。成年後見制度利用支援事業とは非常にざっくりいうと「成年後見制度の利用が困難である人について, 後見人等の報酬等の経費の一部について補助を行う」ものです。高齢者の分野では, 介護保険制度の地域支援事業の中にある任意事業, 障害者の分野では障害者総合支援法の市町村地域生活支援事業の中の必須事業に位置づけられています。

選択肢1 誤り。市町村が申し立てる場合というのは, 申請権者がいない又は責務を果たせない状態が想像されます。例えば, 「一人暮らしで天涯孤独ので家賃収入で生活している認知症の人」などが想像されます。それ以外の人であっても申請は親族が出来ても後見人の責務がはらせない場合もあり得ます。例えば, 先ほどの例で言うと遠方に20年間ほどほとんど連絡していない兄弟がいる場合などは申請まではできても後見人としての責務は果たせませんね。こういう時には, 第三者 (弁護士・司法書士) に報酬を支払って後見人の業務を委託することになりますね。もちろんこの場合にもこの制度を利用することは可能です。

選択肢2 正答。また先走って解説してしまいました。選択肢1の解説を参考にしてください。もちろん報酬もこの事業の支給対象です。ちなみに申し立て費用は切手代や収入印紙等で1万円程度ですね。ただ, 明らかにその必要がないと認められる場合を除いて, 本人の精神の状況について医師その他適当な者に鑑定をしてもらう必要があって (鑑定費用)これは5〜10万円程度かかってしまいます。ただ必要となるのは全体の1割程度という話ですね。

選択肢3 誤り。知的障害者と精神障害者は障害者総合支援法の市町村地域生活支援事業の中の必須事業とされています。

選択肢4 誤り。後見保佐補助どの類型でも使用可能です。

選択肢5 誤り。これは社会福祉法ではなく厚生労働省の管轄する事業だそうです。これは知らなかったですが, レアな感じなので今後も出題されそうです。

今日はここまでー。あと一問。明日でおしまいですー。

 

カテゴリー: 第26回共通科目, 権利擁護と成年後見制度 パーマリンク