第26回-精神専門2

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問題 2 脳の部位とその損傷による症状に関する次の組み合わせのうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 前頭葉—抑制が欠如して反社会的な行為を行う。
2 側頭葉—計画を立て行動することができなくなる。
3 頭頂葉—自発性が低下して周囲に無関心になる。
4 後頭葉—運動麻痺がないのに目的の動作ができなくなる。
5 小脳—手が震え, 四肢の筋が硬直する。

脳の部位についても頻出問題ですね。昨年も出題されました。こちらの問題でも詳しく解説しています。

選択肢1 正答。前頭葉の障害については, フィネアス・ゲージが有名です。元々, 親切かつ有能で責任感が強かった彼は, 怪我による前頭葉の損傷の結果, 短気でおこりっぽく,頑固で移り気な人間になってしまったそうです。

選択肢2 誤り。側頭葉の障害は, 左右で異なっています。右の側頭葉が損傷を受けると, 音や形の記憶が障害され, 左の側頭葉に損傷を受けた場合は, 言葉の記憶や言語の理解能力が著しく低下することがあり (ウェルニッケ失語症), それ以外にも, ユーモアがなくなる, 狂信的になる, 性欲がなくなるなど, 人格の変化が生じることがあります。選択肢の計画を立て行動することができなくなるのは, 前頭葉の障害によって起こります。

選択肢3 誤り。片側の頭頂葉前部が損傷を受けると, 反対側の体にしびれと感覚障害が起こり, 感覚の場所と種類(痛み, 熱さなど)を識別するのが困難になることがあります。また, 頭頂葉後部が損傷を受けると, 左右の方向が分からなくなったり(左右失認), 計算や絵を描くことができなくなったりします。また, 右頭頂葉の損傷は, 失行症 (簡単な動作ができなくなる) の原因になります。選択肢の「自発性の欠如や無関心」については高次脳機能障害の特徴的な症状ですね。 脳部位で言うと, 前頭葉の働きに影響されていると思います。

選択肢4 誤り。選択肢の「運動麻痺がないのに目的の動作ができなくなる。」というのは, 失行の説明になります。これは選択肢3で説明したように, 運動可能であるにもかかわらず合目的な運動ができない状態を示すので, 頭頂葉に関連の深い症状ですね。

選択肢5 誤り。小脳は, 運動や平衡感覚を司っている部位です。そのため, 精密な運動ができなくなったり酒に酔っているようなふらふらとした歩行になったりします。ちょっとわかりにくいのでこれを選んでしまいそうな気もしますが, 選択肢の質問は, パーキンソン病の説明に近いと思います。パーキンソン病は, 大脳の奥にある大脳基底核での電気信号の異常が原因と言われているので, 誤りだと思います。

ちなみに, 脳の部位別の障害についてはこちらのページがとても分かりやすかったです。ちょっと難問だったと思うので, 正直自身がありません。。。今日はここまでー。なんか誤字が多そうだな。。

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