第26回-精神専門28

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問題 28 障害者の権利擁護に関する次の記述のうち, 正しいものを2つ選びなさい。
1 ソーシャルワークにおけるアドボカシーとは, 単なる弁護や代弁ではなく, 生活を支援していく上で, 幅広く積極的な実践内容を含んでいる。
2 ピアアドボカシーとは, クライエント自らが法の遵守を監視し, 法の問題点を吟味し指摘する役割をいう。
3 合理的配慮とは, 障害者が他の者と平等にすべての人権や基本的自由を享有するのに, 必要かつ適当な変更や調整のことをいう。
4 ブローカーロールとは, ソーシャルワーカーの弁護者としての役割をいう。
5 クラスアドボカシーとは, 支援者の側からではなく, 当事者自らが主張することを支援することをいう。

アドボカシーに関する用語問題ですね。1つ1つチェックしていきましょう。アドボカシーは, 「政策提言」や「権利擁護」と訳される用語です。社会的・法的に弱い立場に置かれ, 権利侵害行為の対象となっている人たちの復権を目的として生まれた実践理念です。

昨年に引き続いての問題なので, こちらも参考にしてください。

選択肢1 正答。これはケースアドボカシーの説明です。選択肢のように単なる弁護や代弁ではなく, 生活を支援していく上で, 幅広く積極的な実践内容を含んでいると言えると思います。

選択肢2 誤り。アドボカシーの実践者はアドボケーターと呼ばれ, 利用者が自分で権利を主張できるよう支持し, 共に主張します。これが一般的に考えられているアドボカシーですが, アドボカシーには, 自らの権利を主張するセルフ・アドボカシーや同じ仲間が代弁するピア・アドボカシーもありますね。

選択肢3 正答。合理的配慮とはADA法によって具現化された概念で, 障害のある人の場合, 環境整備や配慮等がないと能力自体が発揮できないことがあるので, 必要な配慮を行うのは社会的責務であるという考え方です。例えば, 車イスの人を能力が低い人と扱うのではなく, 車イスでも当たり前に働ける職場を作った上で正当に評価しようと, それができないのは合理的配慮が出来ていない社会ということですね。これは, 障害者を社会的な弱者と見なしてパターナリズムによる保護の対象としていた伝統的なパラダイムを大きく変化させました。この考え方は, 障害者権利条約の中にも取り入れられ, 世界に広がって行きます。日本においても改正障害者基本法において明記されていますね。

選択肢4 誤り。ブローカロールとは, ソーシャルワーカーのクライエントと必要な資源を結びつける仲介者としての役割を示します。

選択肢5 誤り。クラスアドボカシーとは, 「同じようなニーズをもつ特定の集団の権利を擁護する。」ものです。選択肢はセルフアドボカシーの説明だと思います。

今日はここまでー。

大分すすんできましたが, まだまだ先は長いですねー!!

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