第26回-精神専門48

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問題 48 次の記述のうち, 精神保健福祉士が行うソーシャルインクルージョンの理念に基づいた地域精神保健福祉活動として, 正しいものを1つ選びなさい。
1 精神障害者への福祉サービスの情報提供に際し, 病状が改善していることを前提とする。
2 精神障害のあるホームレスの支援に際し, 制度の活用を控え自助を中心とする。
3 精神障害のある生活困窮者の支援に際し, 精神科病院への入院調整を進める。
4 グループホームの設立に際し, 町はずれの土地を探しコンフリクトを防ぐ。
5 自殺予防に際し, プライマリケアにおけるゲートキーパーを育成する。

ソーシャルインクルージョンは昨年のこの問題でも出題されています。全ての人々を孤独や孤立, 排除や摩擦から援護し, 健康で文化的な生活の実現につなげるよう, 社会の構成員として包み支え合うという理念で, 「社会的包容力」や「社会的包摂」などと言われノーマライゼーションの発展形態ということができます。

選択肢1 誤り。症状が改善していないと, 福祉サービスが利用できないという状況は, ソーシャルインクルージョンとは言えないですね。

選択肢2 誤り。障害があっても健康で文化的な生活を実現するためには, 制度をうまく活用していく必要があると思います。

選択肢3 誤り。社会の構成員として包み支え合うということは, 安易に入院に頼るのではなく, 地域社会で暮らす方法を模索する必要があるでしょう。

選択肢4 誤り。コンフリクトとは, 「競合, 衝突, 対立, 葛藤, 緊張」などの意味を持ちます。精神保健の領域では, まだまだ心のバリアや偏見が大きくと施設等を設置する時に地域からコンフリクトを受けることもありますが, 安易に市街地から外れた場所につくることはソーシャルインクルージョンの理念から外れてしまいます。

選択肢5 正答。ゲートキーパーについてはこちら。自殺対策基本法では, 自殺が個人的な問題としてのみとらえられるべきものではなく, その背景に様々な社会的な要因があることを踏まえ, 社会的な取組として実施されなければならないことが謳われています。そういった意味では, 自殺を防ぐためのゲートキーパーの育成はソーシャルインクルージョンの理念と合致していると考えられます。

今日はここまでー。

カテゴリー: 第26回精神専門科目, 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 パーマリンク