第26回–共通科目10

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問題10 集団の機能に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 社会的促進は, 未学習で複雑な課題については, 動因水準が高まるほど, 顕著に生じる。
2 PM理論によれば, どのような集団でも, PとMの両機能が低いpm型リーダーが, 片方の機能だけ高いPm型やpM型よりも優れている。
3 内集団ひいきは, 初対面の人々を, 何かの好みのようなささいな基準でその場で2グループに分けた即席の集団間では生じることがない。
4 集団にサイズはある大きさまでは同調を促進させるが, あるサイズ (課題や被験者によって異なる) 以上では差が生じないが, あるいは減少をもたらす。
5 集団思考(groupthink)は, 集団の凝集性が高ければ高いほど生じにくい。

集団に関する問題も2年連続の出題です。こちらも参考にしてください。

選択肢1 誤り。社会的促進は, オールポートにより提唱された概念で, 簡単に言うと「人に見られているとパフォーマンスが上がる」ことを言います。これは, 比較的簡単な作業では顕著に見られますが, 逆に慣れなかったり複雑な作業は他者の目があるとパフォーマンスが下がります。ちなみに, これって実際に人がいなくても写真とか目の絵とかでも効果があると言われています。

選択肢2 誤り。これは昨年とほとんど同じです。自分の記事なのでコピペしちゃいます。三隅はリーダーシップの類型でPM理論を提唱しました。彼の理論によると, リーダシップは, P機能(パフォーマンスの頭文字, 目標達成能力)とM機能(メンテナンスの頭文字, 集団維持能力)により成り立っているとしました。簡単に言うと, めっちゃ仕事できるのがPで仕事できないのがp, 部下への思いやりがめっちゃるのがM, 部下にめっちゃ厳しいのがmということになります。もちろん, 理想はPMで両方が満たされている場合が集団全体がいい感じになります。ぎゃくにpmだと, 仕事できないくせに部下にも厳しいってのは最低のリーダーシップになっちゃいますねー!

選択肢3 誤り。人間は, 自分の所属する集団を高く評価し(内集団ひいき), 所属しない集団を低く評価する(外集団卑下)傾向があります。この現象は, 集団内の関係が高ければ高いほど強くなる傾向があります。例を出せば, 同じクラスとか部活とかが分かりやすいでしょうか。ただ, この内集団ひいきは, ほとんど利害関係がない集団(例えば「眼鏡をかけている人」)でも起こると言われています (最小条件集団)。ただ, これについては専門家の間でも意見が分かれています。専門家に見せたらこの問題は正答にするかもしれないなあ。。

選択肢4 正答。集団の同調実験はアッシュが有名です。アッシュらは実験にサクラを忍びこませて, 明らかに間違いの解答をサクラにさせて被験者の反応を見ました。その結果, 被験者が3人までは被験者は間違いだと感じながらも, ついついサクラの意見に同調しましたが, ある程度の人数になると効果はなくなりました。まあそうですよねー。

選択肢5 誤り。集団思考は, 集団で合議を行う場合に不合理あるいは危険な意思決定が容認されることことを言います。グループシンク集団浅慮とも言われます。これはグループの凝集性が高いほど大きくなります。

うむ。面白い問題でしたね。近年こういう問題が増えていると思うので社会心理学系の問題には注意が必要だと思います。今日はここまでー。

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