第27回–精神専門70-72

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(精神保健福祉に関する制度とサービス・事例問題)
次の事例を読んで, 問題70から問題72までについて答えなさい。
〔事 例〕
Webデザイン会社に勤めるLさん (30歳, 女性) は, 結婚を前提に交際しているMさん (35歳, 男性) に誘われて覚せい剤を使い始めた。Lさんは覚せい剤使用について本当は嫌だったが, Mさんに嫌われるのが怖くて断りきれなかった。その後同居を始めると, Mさんは些細なことでLさんに暴力を振るうようになった。ある日の夜中, Mさんの怒声を聞いた近隣住民が審察に通報し, 二人とも逮捕された。Mさんは刑事施設へ行くことになった。Lさんは保護観察付執行猶予判決を受け, 本人の希望によりあるプログラムを受けることになった。(問題70)
Lさんは実家に戻って平穏な生活を送っていたが, 数年後に, 出所してきたMさんと街で偶然再会し, 時々会うようになった。両親は交際を反対したが, 一緒に覚せい剤を使って再逮捕されるに至った。今回はLさんも実刑判決を受け, 刑事施設に入所することとなった。その後, 少し気持ちが落ち着き.Lさんは出所したらいったん自宅に戻って, 蓄えていた100万円を基にネットショップを始めたいと考えていた。しかし, 仮釈放のことが気になり始めたころに, 身元引受人になってほしいと両親に手紙で打診したところ, Mさんとの交際をやめるようにとの忠告に逆らったLさんを信用することができないと, 同意を得ることができず, 仮釈放の許可決定が得られなかった。刑期を終えたLさんは, すぐにある施設に入所した。(問題71)
その後Lさんは, 施設を退所してアパートを借り, そこでWebデザインの仕事を始めた。覚せい剤とは手を切り, 作業に明け暮れる日々を送っていたが, 時々他人の視線が気になるようになった。また, 「もう使わない」と固く決心をしていたにもかかわらず, ふとした時に, 無性に覚せい剤を使いたいと思うこともあった。不安になったLさんは, インターネットで情報を集め, 自分は薬物依存症かもしれないと思い始めた。万一にも入院ということになるのは嫌なので, 病院ではなく,近くの保健所を訪れ, A精神保健福祉相談員による面接を受けた。(問題72)

問題70 次のうち, この時点でLさんが受けることになったプログラムとして, 正しいものを1つ選びなさい。
1 しょく罪指導プログラム
2 覚せい剤事犯者処遇プログラム
3 自立支援プログラム
4 職業能力形成プログラム
5 暴力防止プログラム

この問題って。。。えっって感じですねえ。。もちろんどれも可能性はありますが, 2があまりにも正解すぎて不安になりますね。一応全部確認しておきましょう。今日は事例なので3問一気に。

選択肢1 誤り。しょく罪指導プログラムは, 刑事事件で服役後, 仮釈放などで保護観察対象となっている者へ, 罪の重さの認識と賠償を促すプログラムです。

選択肢2 正答。これですね。うん。。。。覚せい剤事犯者処遇プログラムは,覚せい剤を再び使用しないという意志を強化・持続させることを目的とした専門的処遇のことです。保護観察付執行猶予の方に実施されます。

選択肢3 誤り。良く出題されますねー。この問題この問題も参考にしてください。自立支援プログラムとは, 福祉事務所等の生活保護の実施機関が, 被保護世帯全体の状況を把握した上で, 自立支援の具体的内容や実施手順等を内容とする世帯類型ごとの「個別支援プログラム」を定め, これに基づいて個々の被保護者に必要な支援を組織的に実施するものです。

選択肢4 誤り。職業能力形成プログラムはハロワークで行っているジョブカード制度のことですね。企業における実習と教育訓練施設等における座学を組み合わせた実践的な訓練が特徴です。

選択肢5 誤り。子どもへの暴力防止プログラムが有名ですが, 事例からは遠いのではないでしょうか。

 

問題71 次のうち, この時点でLさんがまず利用した入所施設として, 適切なものを1つ選びなさい。
1 更生保護施設
2 地域生活定着支援センター
3 社会復帰促進センター
4 救護施設
5 自立更生促進センター

おお更生保護に関する問題ですねー。しっかりそれぞれの施設について理解していれば解ける問題だったと思います。

選択肢1 正答。更生保護施設は, 帰住先のない保護観察中の者を一定期間保護し, その円滑な社会復帰や自立更生を助け, 再犯を防止するための施設です。事例とフィットしていますが, 実際には入所者の90%を男性が占めています。
選択肢2 誤り。地域定着支援センター (地域生活定着促進事業)は, 都道府県に設置されていて, 高齢又は障害を有するために福祉的な支援を必要とするものに対する支援を行っています。入所施設ではないので間違いですね。

選択肢3 誤り。社会復帰促進センターとは, 民間の知恵を生かして整備されているPFI方式の刑務所のことです。基本的には初犯者が対象となります。

選択肢4 誤り。救護施設は, 身体や精神に障害があり, 経済的な問題も含めて日常生活をおくるのが困難な人たちが, 健康に安心して生活するための保護施設です。事例には当てはまらないですねー。

選択肢5 誤り。これは悩みましたー。自立更生促進センターは,親族等の援助の得られない仮釈放者を対象とし, 宿泊場所の提供等を行う施設です。事例では,「仮釈放の許可決定が得られなかった」とありますので対象ではないと思います。

 

問題72 次の記述のうち, この時点でのA精神保健福祉相談員の対応として, 適切なものを2つ選びなさい。
1 保護観察を受けたことがあるので, 保護観察所に連絡する。
2 保健所で定期的に行われている精神保健に関する相談を利用することを勧める。
3 覚せい剤は違法薬物なので, 警察に通報する。
4 断薬継続に向けた自助グループについての情報を提供する。
5 薬物依存症が疑われるため, 緊急措置入院の手続きをとる。

これもサービス問題ですねえ。。なんかなあ。。

選択肢1 誤り。連絡してどうなるのかがよく分かりませんねー。うーん。

選択肢2 正答。これは誤りにはできません。「時々他人の視線が気になるようになった」とあるように, 軽度の精神症状があることも考えると保健所におけるケアにつながりやすくすることは大事だと思います。

選択肢3 誤り。「無性に覚せい剤を使いたいと思う」と思うだけで警察が動けるわけもないですねー。

選択肢4 正答。DARCやNAなどの自助グループは本人の生活にとって有用な社会資源だと思います。

選択肢5 誤り。緊急措置入院って。。。ちなみに緊急措置入院は, 2名の精神保健指定が確保できない場合でも, 緊急性が高い時は, 精神保健指定医が1名の診察でも入院が可能な制度です。

今回の制度サービスは例年に比べると少し難易度が低かったように感じますー。うまくすれば10点くらいは取れたかもしれません。基礎的な内容が多かったのでしっかり復習しておくといいですね。

今日はここまでー!

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