第25回-精神専門61

Pocket

精神医療審査会に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 審査案件を取り扱う合議体の委員数は, 都道府県の裁量に任されている。
2 精神障害者の個人情報以外の情報は, 審査結果が報告された後でも非公開である。
3 迅速性の観点から精神保健福祉センター長を委員に含むことになっている。
4 口頭での退院請求は認められず, 書面による請求が必要である。
5 病院管理者は合議体における審査の場で, 意見を陳述することができる。

さて, 新しい科目です。

精神医療審査会については, 過去問でも多数出題されていましたね。

精神医療審査会は, 精神障害者の人権に配慮し, その適正な医療及び保護を確保する観点から, 精神科病院に入院している者の処遇等について, 専門的かつ独立的な機関として審査を行うことを目的としています。

具体的な業務としては, 1) 精神科病院の管理者からの医療保護入院の届出, 措置入院患者や医療保護入院患者の定期病状報告に対し, 入院の要否を審査すること, 2) 入院患者, 又はその保護者等から, 退院の請求又は処遇の改善の請求があったときは, 入院が必要であるかどうか, 処遇が適当であるかを審査することが挙げられます。1987年の精神保健法成立の際に追加されました (ここで説明したように宇都宮病院事件の影響を受けていますね)。

選択肢1  合議体の委員数についてはこちらに詳しく載っています。

委員の構成メンバーは, 医療委員(精神障害者の医療に関する学識経験者), 法律家委員(法律に関する学識経験者), 有識者委員(その他の学識経験者)の三者構成になっており, 任期は2年です。このうち医療委員 (精神保健指定医)は2人以上, 法律家委員(弁護士, 検察官など)は1人以上, 有識者委員  (社協役員など)は1人以上の合計5人と決まっています。地域ごとに委員数が違うとなると審査の質が異なることになるので問題がありますね。選択肢は誤り。

選択肢2 これは難問。精神医療審査会の事務は精神保健福祉センターが行っています (あくまで独立機関なので, 「事務」というのは大事です)。 個別の情報については非公開ですが, 何件審査があってその結果がどうであったかというような情報が精神保健福祉センターで公開されています。最寄りの精神保健福祉センターのホームページを覗いてみましょう。選択肢は誤り。

選択肢3 これも難問。おそらく今まで出題されたことはありませんね。先ほど説明したように, 精神医療審査会は独立した組織です。精神保健福祉センターは都道府県知事に所属する組織なので, その所長が常に審査会に含まれるとするならばその委員の客観性が保たれません。そのため, この選択肢は誤りです。ちなみに緊急性のために予備委員を設置している自治体もある様子です。

選択肢4 これも誤りです。退院請求は, 原則文書においてこないますがもちろん口頭でも可能です。精神科病院の公衆電話には, 請求の窓口となる機関の電話番号・住所が掲示が義務づけられており, 都道府県または政令市の精神保健福祉センター等が窓口になっています。請求された内容は, 精神医療審査会にて検討されます。

選択肢5 精神医療審査会の審査結果に応じて, 都道府県知事は医療機関に対して改善命令を行うことになります。精神医療審査会には, 関係者からの意見徴収権限, 診療録等関係書類の提出を求める権限, 委員(精神保健指定医に限る)に患者の診察等を行う権限, 出頭を命じて審問する権限が付与されています。

また, 「精神科病院の管理者の意見を聴かなければならない。」ともされていますので, これが正答です。

制度サービスは結構厳しい所までついてくる問題が多そうですね。

 

カテゴリー: 第25回精神専門科目, 精神保健福祉に関する制度とサービス パーマリンク

コメントを残す