第25回-精神専門23

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精神保健福祉士国家資格成立に至るまでの精神科ソーシャルワーカーの歴史に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。

1  1948  (昭和23)年に, 精神科ソーシャルワーカーの前身である社会事業婦が, 都立松沢病院に初めて配置された。

2  1964 (昭和39) 年に, 日本精神医学ソーシャルワーカー協会が設立された際, 構成員の所属先は, 3分の1が医療機関であった。

3  1965 (昭和40)年の精神衛生法の一部改正で規定された精神衛生相談員に, 任用対象者として, 大学で社会福祉に関する科目を修め卒業した者が含められた。

4 1973 (昭和48) 年に想起された「Y問題」を契機に議論が重ねられ, 「精神障害者の全人的復権」が日本精神医学ソーシャルワーカー協会の目的に位置づけられた。

5 1983 (昭和58) 年の宇都宮病院事件を契機に, 精神保健福祉士法が制定され, 精神科ソーシャルワーカーが国家資格化された。

精神保健福祉士の歴史を問う問題ですね。簡単な設題と難しい設題が混じっているような印象です。

選択肢1  1948年に社会事業婦が置かれたのは松沢病院ではなく, 国立国府台病院です。松沢病院は元々の東京癲狂院, 巣鴨病院であり, 呉秀三など日本の精神科医療の中心的な役割を果たしていたので, 間違ってこれを選択してしまった人多そうですね。

選択肢2 これは難しい問題。中央法規のテキストには「主として医療機関に所属する」と書いてあるので誤りです。また精神医学ソーシャルワーカー協会は, 医療機関で働くPSWのソーシャルワーカーの業務の指針としての生活モデルの位置づけへのニーズが発足の背景にあったことを考えると, 3分の1というのはちょっと考えにくいと思います。

選択肢3 難問なのではないでしょうか。「精神衛生法の一部改正で規定された精神衛生相談員」ここまでは知識としては必須だと思います。後半部分は一応テキストには載っているので一応正答です。ここまで覚えている人ってあんまりいないと思いますが。。

選択肢4 これも難しいです。Y問題事件の後, 日本精神医学ソーシャルワーカーは, 1982年に札幌宣言を採択します。札幌宣言は, 「精神障害者の社会的復権と福祉のための専門的・社会的活動を進めること」としましたので, 設題は誤り。全人的ではなく社会的。ということです。PSWにとって言葉は大事だと思いますが, こういう重箱の隅をつつくような問題は緊張して問題解いている受験生にとって厳しいだろうなあと感じつつ。。

ちなみにY問題事件はY氏という人物が保健所のPSW(精神衛生相談員)による「精神分裂病」ではないかという予断から, 無診察のまま強制的に入院させられたという事件です。

Y問題事件は, 加害者になりうるPSWとして職能団体の倫理が問われた事件でもありPSW協会にとって大きなターニングポイントになりました。

選択肢5 これは一番最初に選択肢から外せたのではないでしょうか。宇都宮病院事件は, 1987年の精神保健法の成立の大きなきっかけになりました。

宇都宮病院事件は, 宇都宮病院におけるリンチ, 無資格診療, 不正入院などの一連の事件を言います。この事件についてはこちらのページの文章が分かりやすいですね。この病院の事件は非常にいたたまれないものですが, 当時の精神科病院大なり小なりこういったことがあったと言います。

一日一偽善

その後, WHOによる勧告 (国際法律家委員会(ICJ),  国際医療職専門委員会 (ICHP) ) にまで発展しました。こういう状況に陥った原因の1つに, 精神科病院の閉鎖的体質などが上がれました。こういった経緯で, 精神保健法が出来上がったことは重要なことなのでしっかり覚えておきましょう。

ふむ。今日は一問でおしまいです。

 


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第25回-精神専門23 への2件のフィードバック

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