第25回-精神専門35

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ある時, J精神保健福祉士は, 運よくHさんが好きな音楽の話をすることができた。Hさんは, J精神保健福祉士と話している時間は楽しく, ふと正体不明の声のことを漏らした時に, 「それはつらいですね。どうすればいいかなあ」と否定することな受け止めて, 一緒に考えようとしてくれた。これを契機に, 音楽の話だけではなく, 大学時代に写真コンクールで入賞したことなども話すようになった。また, 少しずつではあるが, 正体不明の声が言う命令の内容や自分が困っていることを話すようになった。
Hさんは, J精神保健福祉士と話をし始めて9か月ほどすると, 正体不明の声の命令があまり厳しいことを言わなくなり少し楽になった。最近は 入賞経験がある写真撮影で何か役に立てることはないかと考え, 写真撮影にチャレンジしたり, 母親の手伝いを少しずつするようになってきた。 (問題35)

問題 35 次のうち, J精神保健福祉士が活用する実践モデルとして, 適切なものを
1つ選びなさい。
1 医学モデル
2 ストレングスモデル
3 インテンシブ・ケア・マネジメントモデル
4 社会諸目標モデル
5 アドボカシーモデル

ここでソーシャルワークのモデルを持ってくるとは面白い問題ですねー。実践と理論をうまくミックスされているように感じました。選択肢の順番に確認していきましょう。

選択肢1  医学モデルとは, クライアントを診断・治療する場合に, クライアント個人の要因を重視することです。一方で, 障害は相対的なものであり, 個人の変容を目指すモデルでは限界があることから現在はソーシャルワーカーは生活モデルでクライアントに関わります。事例の例で言えば, 医学モデルではHさんを治療して社会に適応することを目指すのでしょうが, 生活モデルではHさんにとって生活しずらい環境そのものにも焦点を当てます。ということで, 選択肢は誤りですね。

選択肢2 ストレングスモデルは, クライアントの強みに着目して援助を進めて行く技法です。事例では大学時代に身につけた写真に関する技術を重視することで本人のエンパワメントを高め, 結果的にその他の事に対するポジティブなアプローチも引き出しています。正しい選択肢と言えるでしょうね。

選択肢3 インテンシブケアマネジメントとは, 直訳すると集中的ケアマネジメントとなります。例えば, 再入院のリスクの高いクライアントなどに対して社会資源を集中することで再入院を予防したりといった時に使われることが多いのではないかと思います。事例にはそぐわないモデルかな。。

選択肢4 社会的諸目標モデルとは, グループワークの技法の1つでグループ経験を通じて必要な行動様式を強化すること, また社会的責任という価値観を身につけていくことをねらいとしています。ロスマンなどが有名人です。事例とは異なっていますね。

選択肢5  アドボカシーについては, こことかこことかすでに何回か解説しました。この事例とは異なっていますね。

よし, 3教科目終了ーー。


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