第25回-精神専門49

Pocket

長文事例ですね。パラグラフごとにまとめて解説します。

なんだか読みにくい文章でした。

〔事 例〕
Aさん (23歳, 男性) は, 約1年前からVデイケアセンター (以下「Vセンター」という) に通所している。高校2年の時に友人との関係から不登校となり, 家にひきこもるようになった。一時的に登校しても対人関係でのストレスを感じると寝込むことが多く高校は中退している。ひきこもるようになってから精神科クリニックを受診し, 統合失調症との診断を受けている。陽性症状は一時的には認められていたが, 現在は消失しており, 精神科病院への入院歴もない。Vセンター通所開始当初は, 疲れやすく週2回通うのがやっとであったが, 徐々に週5日通所できるようになっていた。Vセンターでの作業を伴うプログラムでは他のメンバーと比べ遂行能力は高いが, 対人関係には敏感で時折悩みこむことがあった。
その際は, デイケアスタッフのB精神保健福祉士のサポートにより何とか解決していた。Aさんの住んでいる地域は, Vセンターのほかに地域活動支援センターや障害者就業・生活支援センターなど社会資源も豊富で, 支援ネットワークも形成されている。
B精神保健福祉士は, 今後について話し合うためにAさんと面接を行ったところ, 「一般企業で就労したいが, これまで仕事をした経験がないので, できるかどうか自信がない」とのことであった。(問題49)
問題 49 次の記述のうち, AさんへのB精神保健福祉士の提案内容として, 適切なものを1つ選びなさい。
1 就労移行支援事業所を利用する。
2 障害があることを開示しないで公共職業安定所 (ハローワーク) で求職活動を開始する。
3 就労継続支援B型事業所を利用する。
4 特例子会社で就労する。
5 一般企業で就労する前提として, 精神障害者保健福祉手帳を取得する。

これはどれもこれも正解にしてもいいかもしれないような選択肢だと思いますねえ。

ただ, 事例の中で読み取れる情報の中で最も適切なものを選ぶという意味では選択肢1 が正しいと思います。以下, 選択肢ごとに見て行きましょう。

選択肢1 就労移行支援は, 自立支援法における訓練給付に位置づけられており, 企業などへの一般就労を希望し, 知識・能力の向上, 実習, 職場探し等を通じて適性にあった職場への就労が見込まれる65歳未満の人を対象としています。期間は, 2年間 (1年延長可) で事業所内での作業訓練や, 企業等での職場実習, 就職後の職場定着支援などを行うものです。事例には非常に適合した社会資源ですね。

選択肢2 精神障害者の雇用についてはさまざまな援助が考えられます。選択肢にあるように, 障害をオープンにしないでハローワークで求職活動を行うことも十分に考えられますが, 事例のケースでは本人の障害受容の話や, 偏見への恐怖などについてまったく触れられていないので, この選択肢は出題者の意図とは異なっていると思います。

選択肢3 事例のケースのような場合には, 実際の現場ではまずこの就労継続B型で少し体を慣らして, 就労移行支援を利用するという方法も考えられると思います。しかし, 「企業などで就労することが困難な障害者に, 雇用契約を結ばずに就労の機会を提供する場所で年齢や体力面で一般就労が難しい人などが対象」とされていますので, 将来的に一般就労を目指すAさんという意味では出題者の意図とは異なっているでしょう。ちなみにA型では, 障害者と雇用関係を結び, 最低賃金を保障し, 社会保険の加入も義務づけられています。

選択肢4 特例子会社は, 企業が障がい者の雇用を促進する目的でつくる子会社のことです。障害者雇用促進法に定められています。法定効用率の関係からも精神障害者福祉手帳が必要となりますし, これは厳密な意味でAさんの望む一般就労と言えるかどうかは微妙ですね。

選択肢5 これは文そのものが破綻している感じです。一般企業で就労する前提で手帳を取得??  出題者の意図は, 一般企業で働くことを念頭に置きつつとりあえず手帳みたいな感じなのでしょうか。。。ちょっとよくわかりませんでした。。

今日はここまで。


カテゴリー: 第25回精神専門科目, 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 パーマリンク

第25回-精神専門49 への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 第25回ー問題54 | 精神保健福祉士国家試験対策!

  2. ピンバック: 第25回ー問題79 | 精神保健福祉士国家試験対策!

コメントを残す