第27回–共通科目14

Pocket

問題14 心理療法に関する次の記述のうち, 正しいものを1つ選びなさい。
1 自律訓練法では, 身体感覚への特有の能動的注意集中を通して, 心身の変化や外界の諸現象に対する受動的態度を作っていく。
2 森田療法では, 不安があることを自然な事実としてあるがままに受け止め, 心身の不調や症状が回復したのちに目の前にある作業に取り組む。
3 認知的再体制化を中心とした認知行動療法では, クライエントの自己への評価の低さや自己非難に伴う否定的な感情に注目し, その認知的枠組みや信念を修正する。
4 箱庭療法は, 言葉では言い尽くせないような象徴的表現が可能であり, 強い認知体験を伴って適度の意識化を促し, 治療を進展させることができる。
5 来談者中心療法では, クライエントの建設的なパーソナリティ変化が起こる, セラピスト側の条件として分析的眼差しが挙げられる。

非常に良く出る問題です。心理学理論の最後の問題は心理療法が出題されるのが個々数年スタンダードになっていますねえ。こちらこちらこちらも参考にしてください。以下の解説は自分コピペです。ちょっと問題はややこしかったですねー。

選択肢1 誤り。自律訓練法は, ドイツのシュルツが創始した催眠療法の1つです。心身をリラックスさせ, 自律神経の働きのバランスを回復させることを目標にしています。選択肢は動作法の説明ではないかなあ。。←誤りでした。能動的注意ではなく, 選択的注意の説明みたいです。ちょっと難し過ぎるなあ。

選択肢2 誤り??また森田療法か。。なんか利権が絡んでいるのではないかと思うくらい毎年何問も出題されますねえ。。森田療法は森田正馬が創始した日本独自の精神療法です。主に, 神経症性障害を治療の対象にしています。その治療プロセスは, 絶対臥褥→軽作業期→作業期→社会生活準備期と続きます。あと「あるがまま」も覚えておきましょう。選択肢はかなり悩みました。前半部分は間違いなく○です。後半部分も限りなく○だと思うのですが, 「不調や症状が回復した後に目の前にある作業に取り組む」というのが少し引っかかります。絶対臥褥が終わり, 軽作業期になった段階で「心身の不調や症状は回復」しているものなのかなあ。。自信ないですが。。

選択肢3 正答?  確かに認知行動療法では, 間違った認知を学習されたものとして扱い, 認知の再体制化を目指します。ただ, これも「否定的な感情に着目」というとことが気になります。否定的な認知ではないかなあ。感情は認知によって引き起こされるものだと思いますし。。試験センターの解答はこちらが正解ですね。

選択肢4 誤り。箱庭療法は, ローエンフェルトカルフらが体系化した治療法で, おもちゃや砂などがある箱庭の中で自由に表現してもらうものです。象徴的表現は可能だと思いますが, 「強い認知体験を伴って適度の意識化を促し」という部分は違うと思います。

選択肢5 誤り。ロジャースはカウンセラーの基本的態度として, 自己一致無条件の肯定的配慮, 共感的理解の三つを挙げました。分析的視点は精神分析の視点ですねえ。

うーん。この問題は選択肢2と選択肢3のどちらが正答になっても不思議はないと思います。専門の人が見たらどういう風に見えるのかなあ。

今年の心理学理論と心理的支援は, 例年とほぼ同じくらいの難易度だったと思います。ただ分かる問題と悩む問題がはっきりしているなあという印象です。どれだけケアレスミスをなくせるかが得点を分ける境目になったのではないでしょうか。

今日はここまでー。

 

カテゴリー: 第27回共通科目, 心理学理論と心理的支援 パーマリンク