第27回–共通科目60

Pocket

問題60 事例を読んで, Gさんの入院に対する対応として, 適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕Gさん (28歳) は精神障害があり家族はいない。過去に放火をしたため「医療観察法」による通院処遇を3年間受けて, 2年前に裁判所から処遇終了の決定を受けている。現在は地域活動支援センターを利用している。最近, Gさんの状態が悪化したため, 通院している精神科病院で精神保健指定医の診察を受けたところ, 「自傷他害のおそれはないが入院が必要」と診断された。Gさんは入院に同意できる状態ではないが, 後見人は入院に同意している。
1「医療観察法」による鑑定入院の命令
2「医療観察法」による入院処遇の決定
3「精神保健福祉法」による措置入院
4「精神保健福祉法」による医療保護入院
5「精神保健福祉法」による応急入院
医療観察法に関する問題ですね。これを共通科目で出すのか。。しかも7問しかいない自立支援で。。意味が分からない。。医療観察法関連の問題はたくさん出ているのでリンク張るのが面倒だなあ。こちらこちらこちらこちをも参考にしてください。

事例では, 通院処遇中に症状が悪化した場合に関する問題ですね。こちらのページから抜粋します。

通院決定又は退院許可決定を受けて, 地域社会における処遇を受けている期間中は, 原則として, 医療観察法と精神保健福祉法の双方が適用されます。任意入院, 医療保護入院, 措置入院などの精神保健福祉法に基づく入院を行うことについても, 通院期間中は妨げられることはありませんので, 病状に応じて, これらの入院が適切に行われる必要があります。例えば, 本人の病状の悪化が認められた場合などは, 必要な医療を確保し, 本制度による入院医療の必要性が認められるかどうかの判断を行うためにも, 必要かつ相当と判断される場合は, 精神保健福祉法に基づく入院等を適切に行い, 一定期間, 病状の改善状況を確認するといった対応が考えられます。

選択肢1 誤り。鑑定入院は, 検察官の申し立ての後, 「対象者が精神障害者であるかどうか」, 「対象行為を行った際の精神障害を改善しこれに伴って同様の行為を行うことなく, 社会に復帰することを促進するためにこの法律による医療を受けさせる必要があるかどうか」について鑑定することを目的に行うものです。医療観察法に当てはまるかどうかを鑑定するための入院なので事例の状況のようにすでに対象になっている場合には合致しませんね。

選択肢2 誤り。これは悩みました。結果として入院処遇に変わる場合もあり得ますが, 症状の悪化をもってすなわち医療観察法の入院処遇になるとは限りません。症状が悪化したからといってすなわち重大犯罪に結びつくとは限らないからです。事例では「症状悪化」とは書いてありますが, 重大犯罪に結びつく様な症状は記載されていないので誤りではないかと思います。

選択肢3 誤り。後見人が同意している状況なので医療保護入院が適切だと思います。また, 「自傷他害のおそれはない」とはっきり記載されているので措置入院はあり得ないと思います。

選択肢4 正答。事例の状況では後見人の同意による医療保護入院が最も正答に近いと思います。

選択肢5 誤り。応急入院は, 緊急の入院が必要で保護者の同意がすぐに取れない場合に行われるもので1987年の精神保健法で新設されました。厚生労働大臣の定める基準を満たし, 都道府県に指定を受けている病院の管理者の権限で, 精神保健指定医の診察の結果, 72時間に限り認められています。事例では家族がいない状況で後見人が同意しているので当てはまらないと思います。

今日はここまでー。

 

 

カテゴリー: 第27回共通科目, 障害者に対する支援と障害者自立支援制度 パーマリンク