第26回-精神専門74

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問題 74 統合失調症のため約8年間入院していた精神科病院を退院したLさん(62歳, 男性)は, 身寄りもなく, 持家で単身生活を始めて6か月が経過した。生活費は毎月の障害年金と預貯金(約350万円)で賄っている。最近, Lさんは, 多少物忘れがみられるようになり, 判断能力も徐々に低下し, 金銭管理の面でも支障が出るようになってきた。つい先日も, 通帳と印鑑の保管場所を忘れて, 生活費を銀行から引き出すことができなくなってしまった。
次のうち, 現時点でLさんが利用するにふさわしい制度として, 適切なものを1つ選びなさい。
1 成年後見制度
2 生活福祉資金貸付制度
3日常生活自立支援事業
4 意思疎通支援事業
5 精神障害者アウトリーチ推進事業

これは解いておかなければ行けない問題ですね。とりあえず解答は選択肢3の日常生活自立支援事業です。日常生活自立支援事業は, 判断能力が不十分な方(認知症高齢者, 知的障害者, 精神障害者等であって, 日常生活を営むのに必要なサービスを利用するための情報の入手, 理解, 判断, 意思表示を本人のみでは適切に行うことが困難な方)を対象に利用者との契約に基づき, 福祉サービスの利用援助等を行うものです。。うんざりするほど良く出る問題なのでサービス問題と言えると思います。昨年度の試験では, こちらこちらこちらこちら。ちなみに都道府県社会福祉協議会が実施主体であることにも留意しましょう。一応他の選択肢も解説しておきます。

選択肢1 誤り。Lさんの今後の状況によっては利用の可能性もありますが, 事例の状況では積極的に利用する段階にはないと思います。

選択肢2 誤り。生活福祉資金貸付制度は, 低所得者や高齢者, 障害者の生活を経済的に支えるとともに, その在宅福祉及び社会参加の促進を図ることを目的とした貸付制度です。 実施主体は都道府県社会福祉協議会で, 総合支援資金, 福祉資金, 教育支援資金, 不動産担保型生活資金などの種類に分類されています。どちらかというと低所得者の支援と生活保護の範囲で出題される内容でしょうか。事例の内容とはほとんど合致しませんね。

選択肢4 誤り。意思疎通支援事業は, 障害者自立支援法時代に, 「手話通訳等を行う者の派遣又は養成」とされていた事業ですが, 聴覚障害者への手話通訳や要約筆記に限らず, 盲ろう者への触手話や指点字, 視覚障害者への代読や代筆, 知的障害や発達障害のある人とのコミュニケーション, 重度の身体障害者に対するコミュニケーションボードによる意思の伝達なども含めて多様なサービスとして, 障害者総合支援法で新たな事業として設立したものです。事例の内容とはほとんど合致しませんね。

選択肢5 誤り。アウトリーチ推進事業もよく出題されます。昨年度はこちらこちら。詳しく説明は避けますが, リンク先の内容もしっかり覚えておく必要があります。

今日はここまでー。

 

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